斉藤牧場のゲートウェイを取り外しました

2024年11月7日
by ノルドマルク

 

斉藤牧場は旭川にある民間牧場で、公共牧場と異なりこの辺りでは夏季放牧が最も長くおこなわれる牧場の一つです。こちらの牧場は1947年に開拓団員の一人が割り当てられた岩山を切り開いて作った牧場です。牛たちは大自然の中で生活し、アニマルウェルフェアの達成度が最も高い民間牧場のひとつです。北海道としては最も長い夏季放牧期間を経た牛たちも、首輪がはずされゲートウェイ撤収の時期がやってきました。

晴れの天気予報にも関わらず、急に雪が降ってきました。

山を登り降りしていた牛たちが全くいなくなり、雪が積もった草地は寂しいものです。

かなり雪が積もりますが、骨組みだけは残しておいてもだいじょうぶです。また来季も元気に草を食む牛たちの姿を見るのが楽しみです。

 

旭川市営牧場のゲートウェイ取り外し

2024年10月23日
by ノルドマルク

 

 

こちら旭川市営牧場も秋が深まり、ご覧の通り牛たちは全くいません。夏季放牧期間が終了しすべての牛たちが農家に帰っていきました。

公共牧場により冬の間もゲートウェイを取付けたままにしている牧場も多いですが、こちら旭川市営牧場では、すべての牛が退牧した後にゲートウェイとアンテナ、ソーラーパネルを取り外します。旭川市営牧場は江丹別地区にあり雪は旭川市内より多いですが、台座はそのままにしておいて翌年そのままゲートウェイを取付けています。取付け、取り外しに1時間もかからないような作業です。

元気に草を食んでいた牛たちがこの広い草原にまったくいなくなると、少し寂しい気持ちになります。来年の入牧時期が待ち遠しくもあります。

 

 

★「うしみる」専用サイトはこちら
https://www.ushimiru.com/

 

斉藤牧場の秋

2024年10月15日
by ノルドマルク

こちら旭川では秋も深まり、朝は5℃前後で暖房が恋しい季節がやってきました。

旭川市内にある旭川市営牧場では今月上旬に退牧作業が完了し、牛たちは農家に帰っていきました。こちら斉藤牧場でも草地に枯葉が降り積もるようになりましたが、民間牧場である斉藤牧場では雪が降り積もる冬直前まで、牛たちは草を食み早朝と夕方に牛舎に戻るという生活を続けます。

 

topic20241015-08

 

 

退牧の時期がやってきました

2024年9月30日
by ノルドマルク

 

5月下旬に入牧してきた牛たちですが、退牧の季節がやってきました。ここ旭川市北部にある牧場では、短い夏を広大な草地で過ごした牛たちが酪農家の元へ帰っていきます。5月下旬から10月上旬と4カ月間ちょっとの期間でしたが牛たちは一回り大きく、足腰も強くなったように見えます。

 

弊社ではこちらの牧場で4カ月間、発情検知の実験をさせていただきました。この牛たちにしばらく会えないと思うと、少し寂しくもあります。

 

「うしみる」専用サイトを開設しました

2024年9月25日
by ノルドマルク

 

放牧牛

 

こちら旭川市周辺は冷え込むようになり、朝は6℃程度で暖房も恋しい季節となってきました。公共牧場の一部ではすでに10月上旬ころには牛たちの退牧が始まります。弊社では今夏もひたすら牛の活動量変動検知、動態判別に時間を費やしてきましたが、徐々に海外からの引き合いが増えてまいりました。マレーシアのIT企業にはまとまった数の「うしみる首輪」を納品させていただきました。

弊社ではこれまで「うしみる」製品について、LPWA製品全般を扱うトラッカーサイトにてご案内してまいりました。しかし海外のお客様からの引き合いも増えてきたため、このたび「うしみる専用サイト」を開設する運びとなりました。専用サイトでは、「うしみる」についての新機能開発状況、お客様事例などをこれから掲載していく所存です。「うしみる」により酪農家の日々のご負担が少しでも軽くなり、アニマルウェルフェア向上にいくばくかの貢献ができれば幸甚です。

 

「うしみる」日本語サイト
https://www.ushimiru.com/
 

「うしみる」英語サイト
https://www.ushimiru.com/english/
 

 

ネプコンを見学してきました

2024年9月9日
by ノルドマルク

 

幕張メッセで開催された、ネプコン・ジャパンを見学してきました。本展示会は製造装置や材料、電子機器の展示会で、弊社と取引きのあるお客様が関連製品を展示されているため訪問しまいた。

今回訪問したのは発電技術を展示されている東海理化様です。

 

今回は弊社の放牧監視システム「うしみる」で使用されている「うしみる首輪」でのナノチューブ発電技術の利用です。放牧牛監視で最大のハードルは「電池のもち」です。データ送信間隔にもよりますが最低でも6カ月はデータ送信し続けなければなりません(現在の「うしみる首輪2号」では5年間利用可)。現場での実証実験が必要ですが、この技術が利用可能になれば、今まで最も難しい課題のひとつであった、希少野生動物の追跡などにも利用できると思います。

 

 

さまざまな展示会でお見かけするソラコム様もSoracom Airの顧客利用例など展示されていました。

北海道公共牧場の研修会に参加しました

2024年 8月 26
by ノルドマルク

 

北海道公共牧場会研修会2024年8月

2024822日と23日に開催された北海道公共牧場会の研修会に参加しました。アニマルウェルフェアや牛ウィルス下痢などについて専門家からの発表、講習などがありました。翌日は施設に木材ふんだんに使った釧路市牧場の視察を行いました。

牛

 

弊社も放牧牛監視システムの発情検知システムの開発状況について発表してきました。

「放牧牛の発情検知システムについて」は こちら

 


早朝にニジマス釣りにでかけ、52cmの大物をフライフィッシングでゲットしました。

ニジマス

 

 

「うしみる首輪」のフィット感

2024年 8月 7
 by ノルドマルク

「うしみる首輪」は装着後、個々の牛の活動量を学習します。学習終了後、放牧牛ごとに活動量の閾値を設定し、その閾値を超えると活動量増加アラートを発報します。前にも書きましたが活動量を学習するためには、首輪のフィット感は非常に重要です。首輪がゆるいとどうしても誤発報につながってしまいます。

2023年に実験を開始した時には端末は首右側上部で固定し、錘をつけ何とか端末が移動しないように実験を続けていました。しかし牛舎飼いの牛と異なり放牧牛の活動範囲・可動領域は広く、端末もGPSモジュールを搭載しているので厚みもあるため端末の首上部維持は困難を極めました。そこで今年は錘を使わず端末の顎下固定で、上部固定と同じような結果を得ることができるよう実験を続けています。

 

放牧牛に首輪を装着する際には必ずゲージに追い込みをかけ、一頭ずつ安全に首輪を装着、点検します。こぶしがぎりぎり入るようなフィット感で首輪を装着しますが、ゲージから出して違う姿勢で牛を確認すると「あれっ?きつすぎる?」というようなことが多々あります。この辺は日々放牧牛を観察されている管理者と相談しながらすすめています。アラート誤発報の可能性は様々で、運用で補うことができるものもあれば、そうでないものもあります。

・首輪のゆるみ

・学習期間中に牛をゲージ内にある程度の期間留め置きした

・豪雨などの悪天候が続いた

・首輪装着前に電源を入れ、倉庫などで保管していた

・高低差の激しい岩山のような場所にある牧場

 

極端な地形への対応はアルゴリズム変更が必要なのか調査中です。

斉藤牧場で「アニマルウェルフェア」について考えてみる

2024年 7月 31
 by ノルドマルク

 

7月24日、私の自宅近所の旭川市江丹別では24時間降水量が200㎜を超え、観測史上最大でした。農道の閉鎖などもあり、市内では高速道路も閉鎖しJRの特急も運休などがありました。そんな土砂降りの日に、当初から予定していた東京からの研究員の方が市内の斉藤牧場見学に来られました。

斉藤牧場は1950年代に山形市から旭川開拓団に加わった斎藤晶氏によって切り開かれた牧場です。牧場といっても当初は笹だらけの岩山だったそうです。面積は130haで東京ドーム28個分にあたります。この起伏の激しい牧場で牛たちは早朝と夕方に牛舎に戻ります。この大雨警報が発表された早朝も牛たちはリラックスした様子で、牛舎内で搾乳の順番を待っています。私たちが近づいても特に警戒する様子はありません。

 

斉藤牧場では雌牛は生まれて2年以上たったのち、自然の中に放たれた雄牛と自然交配を行います。雄牛は2頭飼育されています。通常弊社では社員が牛に近づく場合(特に雄牛)、けがなどしないよう細心の注意をはらうよう指示しています。ところがこちら斉藤牧場では、雄牛に近づき「うしみる首輪」の締め直しを行っても、雄牛はおとなしくしています(上記写真)。

発情、妊娠、出産、搾乳、乳量調整など人間の希望するスケジュールで管理されていないせいか、斉藤牧場の牛は明らかにリラックスして日々を過ごしているように感じます。斉藤牧場の牛は大変寿命も長いとのことです。

 

早朝の搾乳を終えた牛たちもさすがに記録的な大雨で驚いたのか、草地に向かう足が今日は大変重いようです。

牛がかろうじて通れるような細道も牛たちは、お構いなしに突き進んでいきます。広大な牧場の中にところどころ小川が流れ、小さな水たまりも点在しています。

 草を食み、反芻し、横たわり、小さな池で水を飲み搾乳のため牛舎に戻る。こちら斉藤牧場では今日のような記録的豪雨の日でも「自分たちなりの」行動様式で、日々ストレスとは無縁な生活を続けています。牛たちは自由に生活しているように見えますが、広大な山地牧場の急勾配で足を滑らせ、命を落とす牛もいます。誕生から死を迎えるまで、牛たちの行動要求にそった飼育方法・・・こちら斉藤牧場では真のアニマルウェルフェアが実践されていると感じます。

 

発情検知の実験をつづけています⑥

2024年 7月 22
 by ノルドマルク

 

それぞれの牛に取付けた「うしみる首輪」は、装着後に学習を開始します。したがって学習期間は通常の放牧時と同じような環境で牛は行動している必要があります。電源を入れた後に倉庫に「うしみる首輪」が放置されていたり、電源をオンにして牛がつなぎ飼いの状態では、正しいアラートが発報されません。

 

 

端末の取付は上図の通り、電源ボタンが右耳方向に顎下に取付ける必要があります。実験牧場でも逆向きに装着されているものがあり、こちらで検知でき後で装着向きを変えていただきました。また首輪にゆるみがあると誤発報の原因となります。この辺の「装着フィット感」がむずかしいところではあります。

 

各牛の各動態に費やした単位時間あたりの秒数、その日の動態別累積秒数なども表示されます。このあたりの精度も現地で牛の動態をビデオ撮影か筆記で記録し、端末から送られてきたデータと答え合わせをしなければなりません。

 

 

7月も中旬となってきましたが、2023年から続けてきた実験もまだまだ「やり残し」があります。「放牧牛の動態判別、発情検知」という難しい課題ではありますが、牧場での実証と課題の発見、現場からのご要望をシステムに反映することが重要と感じています。引き続き実験牧場にご協力いただき、精度を高めていく所存です。

 

 

発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

発情検知実験を続けています③はこちら

発情検知実験を続けています④はこちら

発情検知実験を続けています⑤はこちら

 

 

 

発情検知実験を続けています⑤

2024年 7月 11
 by ノルドマルク

 

そもそも放牧牛に取付ける端末は以下の要件を満たしていなければなりません。

 

1.放牧牛の激しい動きに耐えうる頑丈な端末をつくること

2.電池が長持ちすること

 

これを実現するまで4年近くかかっています。最難関は「3.遠くにいる牛の発情を検知できること」です。大きな課題と解決法についてまとめてみます。

 

①動態判別行うために十分なデータを遠くの牛からゲートウェイに送信できない>端末にシゴトをさせ、少ないデータで動態を判別できるようにする

②つなぎ飼い牛と異なり放牧牛の動きが激しく、端末を首頂部右横に固定できない>顎下でも動態判別できるようにする。錘も不要なので牛への負担が少ない

➂肉牛、乳牛、放牧されている場所、牛群タイプによって牛の動きは異なる>各端末に学習期間を持たせ、各端末が装着されている牛の「基準」を持つようにする

 

現在台湾3カ所、日本国内4か所の牧場での実験を続けています。日本国内の実験牧場の牛に取付けた端末が発情検知すると、私(実運用では牧場管理者)にメールが届きます。アプリ上でも発情可能性を位置情報とともに表示します。検知率を高めることはもちろんですが、2023年より実験をつづけるうちに、さまざまな問題も浮かび上がってきました。

 

・ある牛に取付けた「うしみる首輪」を一か月後に別の牛に取付けた場合、過去の学習データはどうなるのか?

・「うしみる首輪」を取付けてから一定期間その牛を牛舎にとどめ、その後草地に放った場合はどうなるのか?

・首輪を装着する際に装着する人の個人差により、ゆるめに取付けてしまった場合はどうなるのか?

・発情の有無にかかわらず、PG*投与により発情誘引を行った場合も正しく検知できるのか

*投与することにより黄体を退行させ、発情を誘起する

 

どうにも解決できない問題もありますが、運用や改良で解決できる課題もあります。

 

発情検知実験を続けています⑥に続く

 


発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

発情検知実験を続けています③はこちら

発情検知実験を続けています④はこちら

 

発情検知実験を続けています④

2024年 7月 4
 by ノルドマルク

 

 

発情検知機能の開発にあたり、発情アラートが正しかったかどうか答え合わせをするために、各牧場の担当者に協力をお願いすることになりました。この「答え合わせ」も各牧場の事情に合致した形でお願いしなければなりません。

 ある公共牧場は頭数が少なく、午前、午後と比較的決まった場所に牛がいるため、アラートがあればすぐに確認に行っていただくことが可能です。しかし700頭弱など頭数も多く、広大な草地に牛が散らばっている場合、目視ですぐ確認をお願いすることはできません。定期的にリストをいただいて正誤を後日確認することにしました。

発情検知のシステムは、まず端末の自己学習から始まります。平坦な川べりにある牧草地で生活する牛と、開拓団が切り開いた岩山のような牧場にいる牛、島などでほぼはなし飼いの牛がそれぞれ同じような「動き」であるわけではありません。肉牛と乳牛でも動きは異なるでしょう。各端末は個別に自ら「基準」を設定しなければなりません。端末はその基準もとに「アレ?この牛今日は動きがちがうんじゃない?」と自分で判断してアラートを発報しなければなりません。海外のシステムでは牛群ごとに基準を設定しているものも見かけます。

 各牛に「うしみる首輪2号」取付け後、学習期間を経て端末は初めて各牛の「動き」の監視を始めます。台湾メーカーは台湾の牧場で実験、弊社は日本で実験をしてお互いの実験結果、要求などをすり合わせ、ファームウェアを改良していきます。ファームウェアのアップデートは上記写真のようにBluetoothでスマホから行います。本番では一度牛に取付けた首輪をそうそう簡単に取り外すことはできません。「答え合わせ」が不正解だった場合、どこに原因があったのか調査も必要となります。

今年の夏季放牧終了までシステムの改良は続きます。

 

 

発情検知実験を続けています⑤に続く


発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

発情検知実験を続けています③はこちら

 

 

 

発情検知実験を続けています③

2024626日
 by ノルドマルク

 

放牧牛端末の電池問題を何とか解決し(発情検知実験を続けています①)、加速度センサーからのデータ量が十分であれば高精度で動態判別できる (発情検知実験を続けています②)ことがわかりました。端末にシゴトをさせて発情を検知するという方針も固まりました。

2023年春には発情検知対応の端末も準備でき、実際に放牧牛に装着し実験できることとなりました。アルゴリズムが正しいかどうか確認するためには二つの方法が頭に浮かびました。

 

①つなぎ飼い用の発情検知端末からくる通知と比較する

②牧場の担当者から各牛の発情日時を後日教えてもらう

 

①の方法ですが、つなぎ飼い牛用の発情検知端末は十分に高い精度で発情を検知できるということはわかっています。1頭の牛に「うしみる端末」とつなぎ飼い用端末の両方を取付けて、比較しつつ精度をあげていこうという考えです。たださまざまな限界も浮かびあがってきました。まずつなぎ飼い牛用端末は「うしみる」のように通信方式としてLoRaを採用しているわけではありません。牛舎に非常に近い場所などに制限して放し飼いするとしても、牛の行動範囲が著しく制限されます。牛の活動量も北海道の広大な牧場で活動する牛とは大きく異なるでしょう。また1頭の牛に二つの端末を取付けるため重量が増し、それぞれの端末が正しい位置から移動し加速度センサーの3軸ずれてしまうこともあります。

 

②は実験協力牧場にタイムリーに人工授精を行った日などご連絡いただく方法です。端末の発情検知アルゴリズムと実際の「正解」が合致しているか、試験の答え合わせをしているような心境が毎日続きます。

 


発情検知実験を続けています④に続く


発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

 

 

発情検知実験を続けています②

2024619日
 by ノルドマルク

3軸加速度センサーによる 最初の一歩の実験 が終わりました。

3軸加速度センサーの十分なデータ量があれば牛の動態を高精度で判別できるということがわかりました。LoRa通信でのデータ送信量を少なくするために、3軸を合成軸などにするとすぐに精度は落ちてしまいます。人の背中に装着した加速度センサーなどとは異なり、牛の首では人の腕時計に内蔵された加速度センサー同様、オリエンテーション(軸の方向)が容易に変わってしまいます。つなぎ飼いの牛用端末は薄型で首上部に固定しやすいものが多いです。またつなぎ飼いなので動きも限られます。しかし放牧牛用端末ではGPSモジュールなども内蔵しているため厚みもあり、顎下に錘をつけても牛によっては端末が徐々に顎下の錘に近づいてくることがありました。首輪の形状などで物理的に解決しようとしてもなかなかうまくいきません。

 

当初は左画像のように首上で端末を固定していました。錘も必要でした。現在は錘なしで顎下に取付けています。電源ボタンは右耳よりにくるように取付けしています。この取付け方で同じような精度での発情検知を目指しています。

 

 

 

「うしみる」の発情検知では端末がシゴトをしてLoRa通信による制限を補っています。20分毎に位置情報を送信して、電池が長持ち(「うしみる首輪2号」では5年間)するためには、放牧牛に取付けた端末がシゴトをしなければなりません。具体的には端末自信が「あれっ?いつもよりこの牛、活動量が増えてきたな・・・。」と思い、ある基準を超えた時に自らアラートを発信しなければなりません。

 

発情検知実験を続けています➂に続く


発情検知実験を続けています①はこちら

 

 

 

発情検知実験を続けています①

2024612日
 by ノルドマルク

 

公共牧場への入牧もやっと終盤を迎え、発情検知の実験も準備が整ってきました。弊社では台湾のメーカーと協力して、北海道で3か所、九州で1か所、台湾で3か所の牧場で実験を行っています。

放牧牛端末開発にはいくつかの「越えなければならない壁」があります。まず大前提として端末は夏季放牧期間中電池がもたなければなりません。適正な送信間隔を維持しつつ、電池が6カ月間はもたなければなりません。公共牧場などではそうそう簡単に牛を捕まえて、首輪の付け替えなどできません。弊社の「うしみる首輪1号」は20分毎の送信間隔で約6カ月間電池がもちました。まあ「最低限の基準はクリアできた」というところです。それでも700頭近く放牧している牧場にとって、夏季放牧前の電池交換は大変な人手と時間を要しました。

 

次なる壁は端末の堅牢性です。弊社が実験をさせていただいている斉藤牧場は、開拓団が割り当てられた石だらけの山に切り開いた牧場です。牛の活動量は他の公共牧場とは比較にならないほど多く、牛は人の背丈ほどある笹の中や、谷の中を突き進んでいきます。端末は石にゴリゴリこすられたり、水飲み場では水没したりもします。そんな環境でも問題なく動作する端末でなければなりません。弊社では様々な環境の牧場で実験を続けることにより、より堅牢な「うしみる首輪2号」をリリースすることとなりました。

 

3つ目の大きな壁は牛舎から5㎞など遠くにいる牛の発情をどのように検知するかという点でした。「つなぎ飼い牛の発情検知システムはいくつもあるのに、放牧牛の発情検知システムはほとんど見かけない」というのは、「遠くにいる牛からのデータ送信の難しさ」に理由があります。発情検知には体温などによるものもありますが、加速度センサーを使ったものが多いです。LoRa方式では3軸加速度センサーのデータを、1秒間に10回送るというような用途には向きません。「では4Gなど使えばよいのでは?」という質問も承りますが、それでは端末の電池がもちません。とんでもなく大きな電池を内蔵した端末を牛にとりつけることになってしまいます。動態判別には大量にデータが必要となりますが、特殊なデータ圧縮技術を使い送信するという方法もあります。しかし弊社と台湾のメーカーでは「端末にシゴトをさせる」という途を選びました。ただその前にまずはイチから「加速度センサーによる動態判別」の実験をやらなければなりませんでした。

 

1. 通信機能なしの三軸加速度センサーロガーを放牧牛に取付け、データをログする

2. 同時に牛のビデオを撮り続ける

3. 持ち帰ったビデオを牛の動態(採食、反芻、横臥、歩行)に時間ごとに仕分ける

4. ログしたデータをある式にあてはめ、上記動態と比較を行う

 

データ取りは134時間程度何日も行います。「最初の一歩」の実験となりますが、まずまず3軸加速度センサーで牛の動態判別が高精度で行うことができるということが理解できました。

 


 

※発情検知実験を続けています②に続く

旭川北部でも入牧が始まります

2024522
by ノルドマルク

 

こちら旭川北部は旭川市内より降雪量が多いです。積雪の少なかった昨年より雪解けは1週間ほど遅れたようです。こちらの牧場は旭川北部の小高い丘の上にあり、北海道民の私でも「これが北海道だな」と感じるような景色が広がります。

この牧場にも5月最終週には80頭程度の牛が農家さんの手をはなれて入牧します。こちらの牧場では弊社の発情検知システムの実験にご協力いただいています。

つなぎ飼いの牛と異なり、放牧牛の発情検知には越えなければならない技術的ハードルがいくつかあります。そのため放牧牛の発情検知に参入している会社は世界的にも多くはありません。少しのデータをできるだけ遠くまで飛ばすLoRa通信環境下においては、三軸加速度センサーの三軸それぞれの値を1秒間に10回飛ばすようなことは容易ではありません。弊社ではその膨大なデータを圧縮技術の力技でデータをサーバーに送るのではなく、首輪につけてある端末に「シゴトをさせる」ことによって、発情を検知できるようなシステムを開発しています。肉牛、乳牛、放牧地の起伏などによっても牛の活動量は異なります。弊社ではそれぞれの環境において、異なるタイプの牛の発情を検知できるよう柔軟なアルゴリズムを開発中です。

 

 

この広々としたさわやかな牧場に牛たちが入ってくる日が待ち遠しい今日この頃です!

放牧シーズンがやってきました!

2024年5月8日
by ノルドマルク

 

今年も放牧シーズンがやってきました。今日は弊社近くにある  斉藤牧場で、ゲートウェイ設置と首輪の取付けを行ってきました。斉藤牧場は大変ユニークな牧場で東京ドーム28個分の広大な草地に50頭の牛を放牧しています。牛たちは笹や木々の間をたくましく闊歩し、岩に頭をこすりつけるなど他の公共牧場の牛とは明らかに異なる行動パターンが発現します。

 

まずはゲートウェイを取付けます。ゲートウェイは4G通信が可能な、できるだけ高い開けた場所に取り付けます。牛たちは4G通信不可エリアも歩きますが、ゲートウェイと「うしみる」首輪をLoRa方式で通信しています。ソーラーパネルで給電します。冬の間もゲートウェイ設置の骨組みは残したままにしてあります。

 

牛たちは早朝4時頃と午後3時頃牛舎に戻ります。戻ってこない牛はスマホで位置情報確認、その場所に行き牛舎へ誘導します。

夏季放牧開始のため首輪を牛舎内でつながれた牛に取付けます。位置情報送信間隔は20分で、新型首輪は5年程度使用可能です。

首輪を取付けられた牛たちは順次、広大な草地に戻っていきます。

 

「うしみる」アプリですぐに位置を確認することができました。

 

今年は若齢の牛も多く、今日のように気温がまだ5℃以下の日には牛舎にとめ置かれます。

 

斉藤さんのお話では、日に2回牛を牛舎に追い込む際、毎回スマホで牛たちの位置を確認するそうです。数頭戻ってこない牛がいるケースも多く、位置情報を頼りに捜索すると牛が転倒して動けなくなっていることもあったとのことです。

 

「北海道公共牧場職員春期研修会」に出席しました

2024年4月15日
by かんちゃん

 

みなさんこんにちは。

北海道公共牧場会の研修会(札幌)で、弊社の放牧牛管理システム「うしみる」と、分娩事故防止ライブカメラについて発表を行いました。

 

弊社は去年も発表させていただいています。

https://www.trackers.jp/topic/?p=1160

 

私は初参加だったのですが、全道の牧場の方や酪農関係者が集まっており、情報交換会も行われるため、とても有意義だったと感じています。

発表させていただいた内容について、改めてこちらでご紹介したいと思います。

 


■放牧牛管理システム「うしみる」

インターネットに接続できれば、牛の位置を確認できるシステムです。「うしみる首輪」自体は携帯電波圏外でも問題ありません。設置の段取りとして、ゲートウェイを携帯電波が有効な小高い場所に設置する必要があります。取り付け講習や信号調査を行うこともあります。

 


■分娩事故防止ライブカメラ

赤外線で動作する自動撮影カメラで、カメラの前を人や動物が通ったときのみ反応して、画像や動画を撮影します。携帯電話を使用するため、Wi-Fiカメラのように、牛舎と自宅の距離に制限がありません。間もなく発売予定です。

 


弊社のシステムについて、ご不明な点等がございましたら、お気軽にお問い合わせください!

退牧シーズンがやってきました

2023年10月26日
by ノルドマルク

 

こちら北海道では放牧牛の退牧のシーズンがやってきました!
北海道各地の公共牧場で退牧作業が行われています。こちらの旭川市営牧場の放牧地には、もう牛は1頭も残っていません。5月の入牧時に旭川近郊から運ばれてきた牛たちは、約6カ月間の期間をこの広くて起伏の大きな牧場で過ごし、たくましくなった体で生産者のもとへ帰っていきました。広大な放牧地に牛が全くいない状態でのゲートウェイなどかたづけ作業は、少し寂しくもあります。

弊社では近隣の斉藤牧場、旭川市営牧場の2牧場と契約し、さまざまな実験を行っております。今年は「新うしみる首輪」のリリースに伴い、電池のもちや首輪の牛への取付具合の確認、端末に予期せぬ挙動がないかなど確認を行いました。これから来年の入牧時期までは実験で気になった部分などを修正し、よりよい製品に仕上げていきたい所存です。

旭川地区でも入牧が続いています

2023年6月12日
by ノルドマルク

 放牧牛管理システム「うしみる」

雪解けの遅い旭川北部の江丹別地区でも、入牧が本格化してきました。この時期旭川地区はまだ肌寒い日も多いですが、この「うしみる」首輪取付け日は快晴に恵まれ、夏の訪れを感じさせる一日となりました。各農家から入牧してきた牛たちは、朝から首輪装着の為、一か所に集められています。

放牧牛管理システム「うしみる」

パドックに集められた牛たちは、1頭ずつ追い込み柵に誘導されます。そこで耳標と端末番号を記録し、牛に負担がないように、また端末位置がずれないような適度な「きつさ」で首輪が装着されます。追い込み柵に誘導された牛は、不安でパニック状態になる場合もあります。こちら江丹別の牧場では作業の方々がやさしく牛に話しかけ、牛の不安を取り除こうとされていました。

放牧牛管理システム「うしみる」

首輪の装着を終えた牛たちは、さわやかな青空のもと広々とした放牧地に放たれていきました。