2024年 7月 11日
by ノルドマルク
そもそも放牧牛に取付ける端末は以下の要件を満たしていなければなりません。
1.放牧牛の激しい動きに耐えうる頑丈な端末をつくること
2.電池が長持ちすること
これを実現するまで4年近くかかっています。最難関は「3.遠くにいる牛の発情を検知できること」です。大きな課題と解決法についてまとめてみます。
①動態判別行うために十分なデータを遠くの牛からゲートウェイに送信できない>端末にシゴトをさせ、少ないデータで動態を判別できるようにする
②つなぎ飼い牛と異なり放牧牛の動きが激しく、端末を首頂部右横に固定できない>顎下でも動態判別できるようにする。錘も不要なので牛への負担が少ない
➂肉牛、乳牛、放牧されている場所、牛群タイプによって牛の動きは異なる>各端末に学習期間を持たせ、各端末が装着されている牛の「基準」を持つようにする
現在台湾3カ所、日本国内4か所の牧場での実験を続けています。日本国内の実験牧場の牛に取付けた端末が発情検知すると、私(実運用では牧場管理者)にメールが届きます。アプリ上でも発情可能性を位置情報とともに表示します。検知率を高めることはもちろんですが、2023年より実験をつづけるうちに、さまざまな問題も浮かび上がってきました。
・ある牛に取付けた「うしみる首輪」を一か月後に別の牛に取付けた場合、過去の学習データはどうなるのか?
・「うしみる首輪」を取付けてから一定期間その牛を牛舎にとどめ、その後草地に放った場合はどうなるのか?
・首輪を装着する際に装着する人の個人差により、ゆるめに取付けてしまった場合はどうなるのか?
・発情の有無にかかわらず、PG*投与により発情誘引を行った場合も正しく検知できるのか
*投与することにより黄体を退行させ、発情を誘起する
どうにも解決できない問題もありますが、運用や改良で解決できる課題もあります。
発情検知実験を続けています⑥に続く
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