今年は春が早そうです

2025年2月3日
by ノルドマルク

 

生まれてこの方、こんなに暖かい1月を経験したことがありません。雪もこれだけ少ないのは記憶がありません。積もっている雪も湿度が高く、まるで関東近辺でたまにふる雪のようです。地球温暖化が着々と進み、今の子供たちが大きくなるころには旭川近辺のスキー場の営業期間は、はるかに少ないものとなっているでしょう。秋にサケの遡上などの光景も全く見られなくなってしまうかもしれません。現に10年前くらいまでは知床のウトロ漁港なんかを真っ黒にうめていたカラフトマスは、すっかり姿を消してしまいました。道外から旅行に来られる方も、フグは今や北海道が日本一の漁獲高を誇ることをご存じないようで、旅館などで夕食時にでるとがっかりされることもあるそうです。

 

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この暖かさだと、農家様から公共牧場への入牧時期も早まるかもしれません。弊社では本年度より「うしみる首輪1号」を1頭あたり2,200/月(税込み)でお貸出しすることになりました。

10 頭からご利用可能で、本価格には以下が含まれます。

・「うしみる首輪1号」 頭数分(10頭~)

LoRaゲートウェイ 1

・ゲートウェイからのLTE通信費

・「うしみるアプリ」利用料

*本レンタルは日本国内のみ対応

 

また今年は「うしみる首輪」ご注文が多く、100台を超えるご注文の場合夏季放牧に間に合うかどうか微妙な状況です。ご購入検討のお客様は早めにご連絡お願いいたします!

台南、台北に出張してきました

2024年12月17日
by ノルドマルク

 

 

今年も年の瀬がやってきましたが、40㎝ほど雪が積もった旭川から最高気温28℃の台南と、台北を訪問してきました。

 

 

弊社近くの旭川空港からも台北への直行便がありますが、今回は日程の都合で新千歳空港から台北に向かいました。台湾では旅行者に「ラッキーランド」というキャンペーンをやっており、桃園空港でその場でくじ引きできます。あたると5000元相当の電子マネーがもらえます。私ははずれでした!事前に登録が必要で、必ず入境当日にくじ引きしなければいけません。

まずは新幹線で空港から約1.5時間の台南を訪問しました。大変な数のLoRaセンサーを製造しているNETVOX社との打ち合わせが目的です。早く着いたので台南のランドマークともいえる、赤嵌楼(せきかんろう)を訪問してきました。この建物は1653年にオランダ人により建設され、オランダ統治時代は行政・軍事の中心地でした。1662年にオランダ勢力が駆逐されたのちに中国風テイストの建物となったそうです。

 

まだ時間があったので赤嵌楼から徒歩で行ける、神農街(しぇんのんじえ)を訪ねました。ここは清朝時代から続く商業街ですが、今はおしゃれでアートな雰囲気でいっぱいのストリートとなっています。台南では訪れたい観光スポットがたくさんあります。

 

今回も海外での通信はahamoなので安心楽々でした。入国手続きを終えた後、台湾通信会社カウンターでSIMを調達したりAPN設定など行うなどに時間がとられません。桃園空港につき電波をとらえると、私のApple Watchも自動で時差修正してくれます。Ahamoは最大15日間海外で追加料金なしで利用できます。私の同僚は海外用SIMカードでしたが、APN設定などに時間がかかっていました。

 

さて台湾の電子マネー利用状況ですが、Line Pay が圧倒的に普及しています。しかし日本ではLine Payのサービスが来年4月をもって終了となるようです。台湾では引き続き使えるという話も聞いていますが、定かではありません。私は普段Line Payを国内で使っていませんが、日本でクレジットカードに紐づけ、メニューで「国」を「台湾」に変更することで簡単に使用できました。台湾でコンビニはセブンイレブンかFamily Martが多いですが、セブンイレブンについてはApple Payが使えます。コンビニにレジでまず聞かれることは日台同じです。「袋(塑料袋スーリャオダイ)は要りますか?」です。支払いではApple PayなりLine Payの画面を見せるとすぐにわかってもらえます。普段電子マネーを使わない人は悠遊カードという、交通系カードにチャージして支払う方法があり大変普及しています。

 

RA02G 電子タバコ検知アラートを試してみました

2024年11月19日
by リトルフィールド

 

弊社が取り扱っている電子タバコセンサー
「RA02G:LoRa喫煙、電子タバコ、防犯アラームセンサー(DC電源)」について、現在多くのお問い合わせをいただいています。

 

いただく内容として多いのが、トイレや個室等で隠れて電子タバコを吸う方へ対処をしたいというものです。(一般的な火災報知器ではタバコ、または電子タバコの煙を検知することはほぼ不可能です)

 

そこで、本トピックではデモ機を使い、電子タバコ検知の性能をいくつかの部屋で検証します。

もちろんトイレ等の広さは職場環境や家によりそれぞれで、風や室温により結果も違ってきます。そこにプラスして喫煙者のタバコの吸い方も影響してきます。(煙を吐く向き、息の強さ、電子タバコの種類等…)

また、簡易的な環境での試験のため、あくまで目安としてご参考ください。

 


[検証1] (W)82×(D)122×(H)220のトイレ

 

◆環境
・部屋中央の天井に設置
・便座に座って喫煙
・喫煙者~センサー間:1m
・暖房なし
・ドア、窓は閉めた状態
種類 煙横向き 煙下向き 煙上向き
電子タバコA(1) 30秒 20秒 18秒
電子タバコB(1) 27秒 24秒 19秒
Vape 16秒 15秒 12秒

完全個室&狭い部屋の場合、アラート鳴動後すぐに喫煙をやめてドアと窓を開けて換気をしても、530分程度検知し続けました。

 

 


[検証2] (W)260×(D)350×(H)220の部屋

◆環境
・部屋中央の天井に設置
・壁際で椅子に座って喫煙
・喫煙者~センサー間:1.5m
・暖房なし
・ドア、窓は閉めた状態
種類 煙横向き 煙下向き 煙上向き
電子タバコA(1) 10秒
電子タバコB(1) 3分 15秒
Vape 2分10 1分40 15秒

5畳程度の部屋になると、感知までの時間が急に伸びます。

煙を下向きに吐いたほうが、床→壁と伝うのか、息の関係なのか検知する時間が横向きより短くなるようです。

 


[検証3] 1.7m×3m 高さ2mの物置

◆環境
・暖房等:無し
・天井からセンサーの位置:20cm(棚に固定)
・人からセンサーまでの距離1.8m
・部屋端の棚に固定
・真ん中に座ってセンサー側を向いた状態で喫煙
種類 煙横向き 煙下向き 煙上向き
電子タバコA(1) 30秒 未検証 未検証
電子タバコB(1) 30秒 未検証 未検証
Vape 30秒 未検証 未検証

狭すぎるため、どの向きでやっても秒数はそこまで変わらないと判断し横向きのみ検証しました。ここまで狭いと、ある程度吸い方が異なっても反応はしそうです。

 


[検証4] 半個室トイレ想定

◆環境
・・車庫内中央の柱にコンパネを固定(サイズ(W)0.91m×(H)1.82m)
→前以外に壁はない状態
・壁と対面した状態で喫煙
・壁と人の中間の、上部鉄骨に固定
・人からセンサーまでの距離1.5m
種類 煙横向き 煙下向き 煙上向き
電子タバコA(1) 20秒 30秒 未検証
電子タバコB(1) 40秒 40秒 未検証
Vape 40秒 20秒 未検証

前に壁があるだけでも壁に当たった煙が上に行き、しっかり鳴動しています。

大きい職場にあるような半個室トイレでも有効と言えるのではないでしょうか。

 

現状の検証は以上となります。

 

◯まとめと結果

・狭い部屋、または前にすぐ壁があるような状態では早く反応することは多い

・広い部屋では吸い方や電子タバコの機種によっては反応しないことがある

結論:個室または半個室の狭い部屋での使用がオススメ

 

 

ちなみに電子タバコ試験終了後、換気をして自分では匂いが消えたと思っていても、他社員はまだ匂いを感じていたとのことだったので、トイレで隠れて電子タバコを吸っている方ももしかしたら同じ心理なのかもしれません。

 

上記結果から気になる点や、導入を検討している方はぜひお問い合わせください!

 

 


→ RA02G:LoRa喫煙、電子タバコ、防犯アラームセンサー(DC電源)詳細はこちら

斉藤牧場のゲートウェイを取り外しました

2024年11月7日
by ノルドマルク

 

斉藤牧場は旭川にある民間牧場で、公共牧場と異なりこの辺りでは夏季放牧が最も長くおこなわれる牧場の一つです。こちらの牧場は1947年に開拓団員の一人が割り当てられた岩山を切り開いて作った牧場です。牛たちは大自然の中で生活し、アニマルウェルフェアの達成度が最も高い民間牧場のひとつです。北海道としては最も長い夏季放牧期間を経た牛たちも、首輪がはずされゲートウェイ撤収の時期がやってきました。

晴れの天気予報にも関わらず、急に雪が降ってきました。

山を登り降りしていた牛たちが全くいなくなり、雪が積もった草地は寂しいものです。

かなり雪が積もりますが、骨組みだけは残しておいてもだいじょうぶです。また来季も元気に草を食む牛たちの姿を見るのが楽しみです。

 

旭川市営牧場のゲートウェイ取り外し

2024年10月23日
by ノルドマルク

 

 

こちら旭川市営牧場も秋が深まり、ご覧の通り牛たちは全くいません。夏季放牧期間が終了しすべての牛たちが農家に帰っていきました。

公共牧場により冬の間もゲートウェイを取付けたままにしている牧場も多いですが、こちら旭川市営牧場では、すべての牛が退牧した後にゲートウェイとアンテナ、ソーラーパネルを取り外します。旭川市営牧場は江丹別地区にあり雪は旭川市内より多いですが、台座はそのままにしておいて翌年そのままゲートウェイを取付けています。取付け、取り外しに1時間もかからないような作業です。

元気に草を食んでいた牛たちがこの広い草原にまったくいなくなると、少し寂しい気持ちになります。来年の入牧時期が待ち遠しくもあります。

 

 

★「うしみる」専用サイトはこちら
https://www.ushimiru.com/

 

斉藤牧場の秋

2024年10月15日
by ノルドマルク

こちら旭川では秋も深まり、朝は5℃前後で暖房が恋しい季節がやってきました。

旭川市内にある旭川市営牧場では今月上旬に退牧作業が完了し、牛たちは農家に帰っていきました。こちら斉藤牧場でも草地に枯葉が降り積もるようになりましたが、民間牧場である斉藤牧場では雪が降り積もる冬直前まで、牛たちは草を食み早朝と夕方に牛舎に戻るという生活を続けます。

 

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退牧の時期がやってきました

2024年9月30日
by ノルドマルク

 

5月下旬に入牧してきた牛たちですが、退牧の季節がやってきました。ここ旭川市北部にある牧場では、短い夏を広大な草地で過ごした牛たちが酪農家の元へ帰っていきます。5月下旬から10月上旬と4カ月間ちょっとの期間でしたが牛たちは一回り大きく、足腰も強くなったように見えます。

 

弊社ではこちらの牧場で4カ月間、発情検知の実験をさせていただきました。この牛たちにしばらく会えないと思うと、少し寂しくもあります。

 

「うしみる」専用サイトを開設しました

2024年9月25日
by ノルドマルク

 

放牧牛

 

こちら旭川市周辺は冷え込むようになり、朝は6℃程度で暖房も恋しい季節となってきました。公共牧場の一部ではすでに10月上旬ころには牛たちの退牧が始まります。弊社では今夏もひたすら牛の活動量変動検知、動態判別に時間を費やしてきましたが、徐々に海外からの引き合いが増えてまいりました。マレーシアのIT企業にはまとまった数の「うしみる首輪」を納品させていただきました。

弊社ではこれまで「うしみる」製品について、LPWA製品全般を扱うトラッカーサイトにてご案内してまいりました。しかし海外のお客様からの引き合いも増えてきたため、このたび「うしみる専用サイト」を開設する運びとなりました。専用サイトでは、「うしみる」についての新機能開発状況、お客様事例などをこれから掲載していく所存です。「うしみる」により酪農家の日々のご負担が少しでも軽くなり、アニマルウェルフェア向上にいくばくかの貢献ができれば幸甚です。

 

「うしみる」日本語サイト
https://www.ushimiru.com/
 

「うしみる」英語サイト
https://www.ushimiru.com/english/
 

 

ネプコンを見学してきました

2024年9月9日
by ノルドマルク

 

幕張メッセで開催された、ネプコン・ジャパンを見学してきました。本展示会は製造装置や材料、電子機器の展示会で、弊社と取引きのあるお客様が関連製品を展示されているため訪問しまいた。

今回訪問したのは発電技術を展示されている東海理化様です。

 

今回は弊社の放牧監視システム「うしみる」で使用されている「うしみる首輪」でのナノチューブ発電技術の利用です。放牧牛監視で最大のハードルは「電池のもち」です。データ送信間隔にもよりますが最低でも6カ月はデータ送信し続けなければなりません(現在の「うしみる首輪2号」では5年間利用可)。現場での実証実験が必要ですが、この技術が利用可能になれば、今まで最も難しい課題のひとつであった、希少野生動物の追跡などにも利用できると思います。

 

 

さまざまな展示会でお見かけするソラコム様もSoracom Airの顧客利用例など展示されていました。

北海道公共牧場の研修会に参加しました

2024年 8月 26
by ノルドマルク

 

北海道公共牧場会研修会2024年8月

2024822日と23日に開催された北海道公共牧場会の研修会に参加しました。アニマルウェルフェアや牛ウィルス下痢などについて専門家からの発表、講習などがありました。翌日は施設に木材ふんだんに使った釧路市牧場の視察を行いました。

牛

 

弊社も放牧牛監視システムの発情検知システムの開発状況について発表してきました。

「放牧牛の発情検知システムについて」は こちら

 


早朝にニジマス釣りにでかけ、52cmの大物をフライフィッシングでゲットしました。

ニジマス

 

 

「うしみる首輪」のフィット感

2024年 8月 7
 by ノルドマルク

「うしみる首輪」は装着後、個々の牛の活動量を学習します。学習終了後、放牧牛ごとに活動量の閾値を設定し、その閾値を超えると活動量増加アラートを発報します。前にも書きましたが活動量を学習するためには、首輪のフィット感は非常に重要です。首輪がゆるいとどうしても誤発報につながってしまいます。

2023年に実験を開始した時には端末は首右側上部で固定し、錘をつけ何とか端末が移動しないように実験を続けていました。しかし牛舎飼いの牛と異なり放牧牛の活動範囲・可動領域は広く、端末もGPSモジュールを搭載しているので厚みもあるため端末の首上部維持は困難を極めました。そこで今年は錘を使わず端末の顎下固定で、上部固定と同じような結果を得ることができるよう実験を続けています。

 

放牧牛に首輪を装着する際には必ずゲージに追い込みをかけ、一頭ずつ安全に首輪を装着、点検します。こぶしがぎりぎり入るようなフィット感で首輪を装着しますが、ゲージから出して違う姿勢で牛を確認すると「あれっ?きつすぎる?」というようなことが多々あります。この辺は日々放牧牛を観察されている管理者と相談しながらすすめています。アラート誤発報の可能性は様々で、運用で補うことができるものもあれば、そうでないものもあります。

・首輪のゆるみ

・学習期間中に牛をゲージ内にある程度の期間留め置きした

・豪雨などの悪天候が続いた

・首輪装着前に電源を入れ、倉庫などで保管していた

・高低差の激しい岩山のような場所にある牧場

 

極端な地形への対応はアルゴリズム変更が必要なのか調査中です。

斉藤牧場で「アニマルウェルフェア」について考えてみる

2024年 7月 31
 by ノルドマルク

 

7月24日、私の自宅近所の旭川市江丹別では24時間降水量が200㎜を超え、観測史上最大でした。農道の閉鎖などもあり、市内では高速道路も閉鎖しJRの特急も運休などがありました。そんな土砂降りの日に、当初から予定していた東京からの研究員の方が市内の斉藤牧場見学に来られました。

斉藤牧場は1950年代に山形市から旭川開拓団に加わった斎藤晶氏によって切り開かれた牧場です。牧場といっても当初は笹だらけの岩山だったそうです。面積は130haで東京ドーム28個分にあたります。この起伏の激しい牧場で牛たちは早朝と夕方に牛舎に戻ります。この大雨警報が発表された早朝も牛たちはリラックスした様子で、牛舎内で搾乳の順番を待っています。私たちが近づいても特に警戒する様子はありません。

 

斉藤牧場では雌牛は生まれて2年以上たったのち、自然の中に放たれた雄牛と自然交配を行います。雄牛は2頭飼育されています。通常弊社では社員が牛に近づく場合(特に雄牛)、けがなどしないよう細心の注意をはらうよう指示しています。ところがこちら斉藤牧場では、雄牛に近づき「うしみる首輪」の締め直しを行っても、雄牛はおとなしくしています(上記写真)。

発情、妊娠、出産、搾乳、乳量調整など人間の希望するスケジュールで管理されていないせいか、斉藤牧場の牛は明らかにリラックスして日々を過ごしているように感じます。斉藤牧場の牛は大変寿命も長いとのことです。

 

早朝の搾乳を終えた牛たちもさすがに記録的な大雨で驚いたのか、草地に向かう足が今日は大変重いようです。

牛がかろうじて通れるような細道も牛たちは、お構いなしに突き進んでいきます。広大な牧場の中にところどころ小川が流れ、小さな水たまりも点在しています。

 草を食み、反芻し、横たわり、小さな池で水を飲み搾乳のため牛舎に戻る。こちら斉藤牧場では今日のような記録的豪雨の日でも「自分たちなりの」行動様式で、日々ストレスとは無縁な生活を続けています。牛たちは自由に生活しているように見えますが、広大な山地牧場の急勾配で足を滑らせ、命を落とす牛もいます。誕生から死を迎えるまで、牛たちの行動要求にそった飼育方法・・・こちら斉藤牧場では真のアニマルウェルフェアが実践されていると感じます。

 

発情検知の実験をつづけています⑥

2024年 7月 22
 by ノルドマルク

 

それぞれの牛に取付けた「うしみる首輪」は、装着後に学習を開始します。したがって学習期間は通常の放牧時と同じような環境で牛は行動している必要があります。電源を入れた後に倉庫に「うしみる首輪」が放置されていたり、電源をオンにして牛がつなぎ飼いの状態では、正しいアラートが発報されません。

 

 

端末の取付は上図の通り、電源ボタンが右耳方向に顎下に取付ける必要があります。実験牧場でも逆向きに装着されているものがあり、こちらで検知でき後で装着向きを変えていただきました。また首輪にゆるみがあると誤発報の原因となります。この辺の「装着フィット感」がむずかしいところではあります。

 

各牛の各動態に費やした単位時間あたりの秒数、その日の動態別累積秒数なども表示されます。このあたりの精度も現地で牛の動態をビデオ撮影か筆記で記録し、端末から送られてきたデータと答え合わせをしなければなりません。

 

 

7月も中旬となってきましたが、2023年から続けてきた実験もまだまだ「やり残し」があります。「放牧牛の動態判別、発情検知」という難しい課題ではありますが、牧場での実証と課題の発見、現場からのご要望をシステムに反映することが重要と感じています。引き続き実験牧場にご協力いただき、精度を高めていく所存です。

 

 

発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

発情検知実験を続けています③はこちら

発情検知実験を続けています④はこちら

発情検知実験を続けています⑤はこちら

 

 

 

発情検知実験を続けています⑤

2024年 7月 11
 by ノルドマルク

 

そもそも放牧牛に取付ける端末は以下の要件を満たしていなければなりません。

 

1.放牧牛の激しい動きに耐えうる頑丈な端末をつくること

2.電池が長持ちすること

 

これを実現するまで4年近くかかっています。最難関は「3.遠くにいる牛の発情を検知できること」です。大きな課題と解決法についてまとめてみます。

 

①動態判別行うために十分なデータを遠くの牛からゲートウェイに送信できない>端末にシゴトをさせ、少ないデータで動態を判別できるようにする

②つなぎ飼い牛と異なり放牧牛の動きが激しく、端末を首頂部右横に固定できない>顎下でも動態判別できるようにする。錘も不要なので牛への負担が少ない

➂肉牛、乳牛、放牧されている場所、牛群タイプによって牛の動きは異なる>各端末に学習期間を持たせ、各端末が装着されている牛の「基準」を持つようにする

 

現在台湾3カ所、日本国内4か所の牧場での実験を続けています。日本国内の実験牧場の牛に取付けた端末が発情検知すると、私(実運用では牧場管理者)にメールが届きます。アプリ上でも発情可能性を位置情報とともに表示します。検知率を高めることはもちろんですが、2023年より実験をつづけるうちに、さまざまな問題も浮かび上がってきました。

 

・ある牛に取付けた「うしみる首輪」を一か月後に別の牛に取付けた場合、過去の学習データはどうなるのか?

・「うしみる首輪」を取付けてから一定期間その牛を牛舎にとどめ、その後草地に放った場合はどうなるのか?

・首輪を装着する際に装着する人の個人差により、ゆるめに取付けてしまった場合はどうなるのか?

・発情の有無にかかわらず、PG*投与により発情誘引を行った場合も正しく検知できるのか

*投与することにより黄体を退行させ、発情を誘起する

 

どうにも解決できない問題もありますが、運用や改良で解決できる課題もあります。

 

発情検知実験を続けています⑥に続く

 


発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

発情検知実験を続けています③はこちら

発情検知実験を続けています④はこちら

 

代替内蔵サーバーのご紹介

2024年07月10日
by リトルフィールド

 

Kerlink社のSPNが 2024/9/30 をもってサポート終了となり、内蔵ネットワークサーバーの代替として今後は

・ChirpStack

・Actility TAO

2種からお選びいただくこととなります。

 →【Kerlink社のSPN提供、サポート終了に関する詳細はこちら】

 

そもそもLoRaで言う所のネットワークサーバーとは、各デバイスの情報をゲートウェイから受取り、ログ表示や別サーバーへとデータを転送出来るサーバーのことです。

TTSAWS等のその他多くのネットワーク上で構成されているサーバーとは違い、SPNと今回の代替サーバーは内蔵となっているため同じネットワーク内にいなければゲートウェイに接続することが出来ず、手間の反面セキュリティが強いとも言えます。

また、定額制や従量制が多い中でSPNKerlink社ゲートウェイに対して無償の提供だったこともあり過去多くインストールされてきました。

では現在使っているSPNはどうなるのか?という話ですが、ライセンス発行済みで既に導入されているお客様は引き続き利用可能ですので変更しませんか?と無理に弊社から連絡をすることはありません。

不具合の発生についてはサポート対象外とはなりますが、再インストールのみ対応可能です。

しかし、SPNのセキュリティやLoRaWAN仕様は古く、不具合(最初のアップリンクにsend dataでダウンリンクは送れない等)も残っているので、代替ネットワークサーバーへの乗り換えも視野に入れたほうが良いかもしれません。

 

下記でご紹介する2種類の代替ネットワークサーバーもSPN同様内蔵になっており、SPNと同等またはそれ以上の使い方をすることが可能です。

 

■ ChirpStack

[メリット]

・インストール無償

・デバイスをグループ毎に分けて転送先を設定可能

・アップリンク、ダウンリンクはページ上でリアルタイムに反映するのでページ更新の必要無し

・オープンソースのため、利用者&情報量が多い

PostgreSQLNode-REDHTTP REST API等の追加インストールが可能

ChirpstackPostgreSQLNode-REDHTTP REST APIの動作についてはメーカーサポート対象外となります

 

[デメリット]

・プロファイル(OTAA or ABPRegionMAC version)を自分で作成する必要有

・若干複雑なGUI

・受信ログを見られるのは送受信含めて10件まで

 

■ Actility TAO

[メリット]

・シンプルでわかりやすいGUI

・デバイスリストが用意されているので、デバイス登録が簡単(デバイスリストに無い機種ももちろん登録可)

・メーカーによる1年間の動作サポート

 

[デメリット]

・インストール有償(買い切り)

・転送先、ダウンリンクコマンド送信はActility TAO外で設定必須(Node-RED)

・受信ログを見られるのは送受信含めて10件まで

・最新の受信データ確認にはページ更新が必要

 

簡単にまとめると、

ChirpStack:自由度は高いが若干複雑

Actility TAO:シンプルでわかりやすいが自由度が少し低い

というのがどちらも実際に機器を接続し、検証した感想です。

 

ChirpStackActility TAOともに受信ログが10件までとSPNに劣る点はありますが、どちらも、最新のLoRaWAN仕様に準拠し多数のインターフェース(MQTT HTTP Websocket Modbus BACNet PostgreSQL…)に対応している上位互換です。 

また、SPNと代替ネットワークサーバーでは転送先に対する形式が異なるため、すでにアプリケーションサーバーにSPNから転送を行っている方は代替ネットワークサーバーに切り替えた際に再構築が必要になります。

ただ、Node-REDSPNと同様の形式となるような設定は可能です。

 

最後に、ABPで同じ端末を登録して受信したデータの表示を並べてみました。

(一部表示は加工で消去しています)

ChirpStack

 

Actility TAO

 

ゲートウェイご購入や、SPNからの移行にお悩みの方はぜひご相談ください!

発情検知実験を続けています④

2024年 7月 4
 by ノルドマルク

 

 

発情検知機能の開発にあたり、発情アラートが正しかったかどうか答え合わせをするために、各牧場の担当者に協力をお願いすることになりました。この「答え合わせ」も各牧場の事情に合致した形でお願いしなければなりません。

 ある公共牧場は頭数が少なく、午前、午後と比較的決まった場所に牛がいるため、アラートがあればすぐに確認に行っていただくことが可能です。しかし700頭弱など頭数も多く、広大な草地に牛が散らばっている場合、目視ですぐ確認をお願いすることはできません。定期的にリストをいただいて正誤を後日確認することにしました。

発情検知のシステムは、まず端末の自己学習から始まります。平坦な川べりにある牧草地で生活する牛と、開拓団が切り開いた岩山のような牧場にいる牛、島などでほぼはなし飼いの牛がそれぞれ同じような「動き」であるわけではありません。肉牛と乳牛でも動きは異なるでしょう。各端末は個別に自ら「基準」を設定しなければなりません。端末はその基準もとに「アレ?この牛今日は動きがちがうんじゃない?」と自分で判断してアラートを発報しなければなりません。海外のシステムでは牛群ごとに基準を設定しているものも見かけます。

 各牛に「うしみる首輪2号」取付け後、学習期間を経て端末は初めて各牛の「動き」の監視を始めます。台湾メーカーは台湾の牧場で実験、弊社は日本で実験をしてお互いの実験結果、要求などをすり合わせ、ファームウェアを改良していきます。ファームウェアのアップデートは上記写真のようにBluetoothでスマホから行います。本番では一度牛に取付けた首輪をそうそう簡単に取り外すことはできません。「答え合わせ」が不正解だった場合、どこに原因があったのか調査も必要となります。

今年の夏季放牧終了までシステムの改良は続きます。

 

 

発情検知実験を続けています⑤に続く


発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

発情検知実験を続けています③はこちら

 

 

 

発情検知実験を続けています③

2024626日
 by ノルドマルク

 

放牧牛端末の電池問題を何とか解決し(発情検知実験を続けています①)、加速度センサーからのデータ量が十分であれば高精度で動態判別できる (発情検知実験を続けています②)ことがわかりました。端末にシゴトをさせて発情を検知するという方針も固まりました。

2023年春には発情検知対応の端末も準備でき、実際に放牧牛に装着し実験できることとなりました。アルゴリズムが正しいかどうか確認するためには二つの方法が頭に浮かびました。

 

①つなぎ飼い用の発情検知端末からくる通知と比較する

②牧場の担当者から各牛の発情日時を後日教えてもらう

 

①の方法ですが、つなぎ飼い牛用の発情検知端末は十分に高い精度で発情を検知できるということはわかっています。1頭の牛に「うしみる端末」とつなぎ飼い用端末の両方を取付けて、比較しつつ精度をあげていこうという考えです。たださまざまな限界も浮かびあがってきました。まずつなぎ飼い牛用端末は「うしみる」のように通信方式としてLoRaを採用しているわけではありません。牛舎に非常に近い場所などに制限して放し飼いするとしても、牛の行動範囲が著しく制限されます。牛の活動量も北海道の広大な牧場で活動する牛とは大きく異なるでしょう。また1頭の牛に二つの端末を取付けるため重量が増し、それぞれの端末が正しい位置から移動し加速度センサーの3軸ずれてしまうこともあります。

 

②は実験協力牧場にタイムリーに人工授精を行った日などご連絡いただく方法です。端末の発情検知アルゴリズムと実際の「正解」が合致しているか、試験の答え合わせをしているような心境が毎日続きます。

 


発情検知実験を続けています④に続く


発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

 

 

発情検知実験を続けています②

2024619日
 by ノルドマルク

3軸加速度センサーによる 最初の一歩の実験 が終わりました。

3軸加速度センサーの十分なデータ量があれば牛の動態を高精度で判別できるということがわかりました。LoRa通信でのデータ送信量を少なくするために、3軸を合成軸などにするとすぐに精度は落ちてしまいます。人の背中に装着した加速度センサーなどとは異なり、牛の首では人の腕時計に内蔵された加速度センサー同様、オリエンテーション(軸の方向)が容易に変わってしまいます。つなぎ飼いの牛用端末は薄型で首上部に固定しやすいものが多いです。またつなぎ飼いなので動きも限られます。しかし放牧牛用端末ではGPSモジュールなども内蔵しているため厚みもあり、顎下に錘をつけても牛によっては端末が徐々に顎下の錘に近づいてくることがありました。首輪の形状などで物理的に解決しようとしてもなかなかうまくいきません。

 

当初は左画像のように首上で端末を固定していました。錘も必要でした。現在は錘なしで顎下に取付けています。電源ボタンは右耳よりにくるように取付けしています。この取付け方で同じような精度での発情検知を目指しています。

 

 

 

「うしみる」の発情検知では端末がシゴトをしてLoRa通信による制限を補っています。20分毎に位置情報を送信して、電池が長持ち(「うしみる首輪2号」では5年間)するためには、放牧牛に取付けた端末がシゴトをしなければなりません。具体的には端末自信が「あれっ?いつもよりこの牛、活動量が増えてきたな・・・。」と思い、ある基準を超えた時に自らアラートを発信しなければなりません。

 

発情検知実験を続けています➂に続く


発情検知実験を続けています①はこちら

 

 

 

発情検知実験を続けています①

2024612日
 by ノルドマルク

 

公共牧場への入牧もやっと終盤を迎え、発情検知の実験も準備が整ってきました。弊社では台湾のメーカーと協力して、北海道で3か所、九州で1か所、台湾で3か所の牧場で実験を行っています。

放牧牛端末開発にはいくつかの「越えなければならない壁」があります。まず大前提として端末は夏季放牧期間中電池がもたなければなりません。適正な送信間隔を維持しつつ、電池が6カ月間はもたなければなりません。公共牧場などではそうそう簡単に牛を捕まえて、首輪の付け替えなどできません。弊社の「うしみる首輪1号」は20分毎の送信間隔で約6カ月間電池がもちました。まあ「最低限の基準はクリアできた」というところです。それでも700頭近く放牧している牧場にとって、夏季放牧前の電池交換は大変な人手と時間を要しました。

 

次なる壁は端末の堅牢性です。弊社が実験をさせていただいている斉藤牧場は、開拓団が割り当てられた石だらけの山に切り開いた牧場です。牛の活動量は他の公共牧場とは比較にならないほど多く、牛は人の背丈ほどある笹の中や、谷の中を突き進んでいきます。端末は石にゴリゴリこすられたり、水飲み場では水没したりもします。そんな環境でも問題なく動作する端末でなければなりません。弊社では様々な環境の牧場で実験を続けることにより、より堅牢な「うしみる首輪2号」をリリースすることとなりました。

 

3つ目の大きな壁は牛舎から5㎞など遠くにいる牛の発情をどのように検知するかという点でした。「つなぎ飼い牛の発情検知システムはいくつもあるのに、放牧牛の発情検知システムはほとんど見かけない」というのは、「遠くにいる牛からのデータ送信の難しさ」に理由があります。発情検知には体温などによるものもありますが、加速度センサーを使ったものが多いです。LoRa方式では3軸加速度センサーのデータを、1秒間に10回送るというような用途には向きません。「では4Gなど使えばよいのでは?」という質問も承りますが、それでは端末の電池がもちません。とんでもなく大きな電池を内蔵した端末を牛にとりつけることになってしまいます。動態判別には大量にデータが必要となりますが、特殊なデータ圧縮技術を使い送信するという方法もあります。しかし弊社と台湾のメーカーでは「端末にシゴトをさせる」という途を選びました。ただその前にまずはイチから「加速度センサーによる動態判別」の実験をやらなければなりませんでした。

 

1. 通信機能なしの三軸加速度センサーロガーを放牧牛に取付け、データをログする

2. 同時に牛のビデオを撮り続ける

3. 持ち帰ったビデオを牛の動態(採食、反芻、横臥、歩行)に時間ごとに仕分ける

4. ログしたデータをある式にあてはめ、上記動態と比較を行う

 

データ取りは134時間程度何日も行います。「最初の一歩」の実験となりますが、まずまず3軸加速度センサーで牛の動態判別が高精度で行うことができるということが理解できました。

 


 

※発情検知実験を続けています②に続く

JAGRI(熊本)に出展しました

 2024年5月28日
by ノルドマルク

 

2024.5.22-24に熊本で開催された農業の展示会JAGRIに出展してきました。

昨年の開催が第一回の本展示会ですが、今年もグランメッセ熊本で開催されました。市内ホテルから会場まで12㎞程度ですが、TSMCの進出などで人口が増えている菊陽町方面で向かうので道路は大変渋滞しています。

弊社では放牧牛監視システム「うしみる」をメインで展示しました。弊社お客様で阿蘇に「うしみる首輪」をつけた放牧牛がいますので、お客様の許可をもらい会場でお見せしました。

 

 

JAGRI(熊本)に出展

気になるブースもあり説明をうかがいました。FARMOLoRa方式を採用した農地監視システムです。さまざまなエンドノードがありますが、価格も手ごろで、センサーはかなり売れているそうです。

 

 

 

 

 

JAGRI(熊本)に出展

SonyEltresSonyが基地局を設置するLPWA通信システムです。LoRaと異なり、基地局からかなり離れたエリアもカバーするようです。北海道でもためしていますが、自分の印象では人口3,000人以上程度の市町村は結構カバーしているように感じます。

 

 

 

 

 

JAGRI(熊本)に出展

 

熊本市は最近出張した台北と同じくらい暑いです。夜食事をしたときに「うどん居酒屋」を見つけました。私の住む旭川市ではこの組み合わせは見かけません。北海道では居酒屋でラーメンも出すというところは結構あります。以前東京新宿で「カレー居酒屋」をいう看板をかかげたお店をみたことがありますが、大変大きな衝撃を受けたことを記憶しています。