発情検知の実験をつづけています⑥

2024年 7月 22
 by ノルドマルク

 

それぞれの牛に取付けた「うしみる首輪」は、装着後に学習を開始します。したがって学習期間は通常の放牧時と同じような環境で牛は行動している必要があります。電源を入れた後に倉庫に「うしみる首輪」が放置されていたり、電源をオンにして牛がつなぎ飼いの状態では、正しいアラートが発報されません。

 

 

端末の取付は上図の通り、電源ボタンが右耳方向に顎下に取付ける必要があります。実験牧場でも逆向きに装着されているものがあり、こちらで検知でき後で装着向きを変えていただきました。また首輪にゆるみがあると誤発報の原因となります。この辺の「装着フィット感」がむずかしいところではあります。

 

各牛の各動態に費やした単位時間あたりの秒数、その日の動態別累積秒数なども表示されます。このあたりの精度も現地で牛の動態をビデオ撮影か筆記で記録し、端末から送られてきたデータと答え合わせをしなければなりません。

 

 

7月も中旬となってきましたが、2023年から続けてきた実験もまだまだ「やり残し」があります。「放牧牛の動態判別、発情検知」という難しい課題ではありますが、牧場での実証と課題の発見、現場からのご要望をシステムに反映することが重要と感じています。引き続き実験牧場にご協力いただき、精度を高めていく所存です。

 

 

発情検知実験を続けています①はこちら

発情検知実験を続けています②はこちら

発情検知実験を続けています③はこちら

発情検知実験を続けています④はこちら

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発情検知実験を続けています⑤

2024年 7月 11
 by ノルドマルク

 

そもそも放牧牛に取付ける端末は以下の要件を満たしていなければなりません。

 

1.放牧牛の激しい動きに耐えうる頑丈な端末をつくること

2.電池が長持ちすること

 

これを実現するまで4年近くかかっています。最難関は「3.遠くにいる牛の発情を検知できること」です。大きな課題と解決法についてまとめてみます。

 

①動態判別行うために十分なデータを遠くの牛からゲートウェイに送信できない>端末にシゴトをさせ、少ないデータで動態を判別できるようにする

②つなぎ飼い牛と異なり放牧牛の動きが激しく、端末を首頂部右横に固定できない>顎下でも動態判別できるようにする。錘も不要なので牛への負担が少ない

➂肉牛、乳牛、放牧されている場所、牛群タイプによって牛の動きは異なる>各端末に学習期間を持たせ、各端末が装着されている牛の「基準」を持つようにする

 

現在台湾3カ所、日本国内4か所の牧場での実験を続けています。日本国内の実験牧場の牛に取付けた端末が発情検知すると、私(実運用では牧場管理者)にメールが届きます。アプリ上でも発情可能性を位置情報とともに表示します。検知率を高めることはもちろんですが、2023年より実験をつづけるうちに、さまざまな問題も浮かび上がってきました。

 

・ある牛に取付けた「うしみる首輪」を一か月後に別の牛に取付けた場合、過去の学習データはどうなるのか?

・「うしみる首輪」を取付けてから一定期間その牛を牛舎にとどめ、その後草地に放った場合はどうなるのか?

・首輪を装着する際に装着する人の個人差により、ゆるめに取付けてしまった場合はどうなるのか?

・発情の有無にかかわらず、PG*投与により発情誘引を行った場合も正しく検知できるのか

*投与することにより黄体を退行させ、発情を誘起する

 

どうにも解決できない問題もありますが、運用や改良で解決できる課題もあります。

 

発情検知実験を続けています⑥に続く

 


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発情検知実験を続けています④

2024年 7月 4
 by ノルドマルク

 

 

発情検知機能の開発にあたり、発情アラートが正しかったかどうか答え合わせをするために、各牧場の担当者に協力をお願いすることになりました。この「答え合わせ」も各牧場の事情に合致した形でお願いしなければなりません。

 ある公共牧場は頭数が少なく、午前、午後と比較的決まった場所に牛がいるため、アラートがあればすぐに確認に行っていただくことが可能です。しかし700頭弱など頭数も多く、広大な草地に牛が散らばっている場合、目視ですぐ確認をお願いすることはできません。定期的にリストをいただいて正誤を後日確認することにしました。

発情検知のシステムは、まず端末の自己学習から始まります。平坦な川べりにある牧草地で生活する牛と、開拓団が切り開いた岩山のような牧場にいる牛、島などでほぼはなし飼いの牛がそれぞれ同じような「動き」であるわけではありません。肉牛と乳牛でも動きは異なるでしょう。各端末は個別に自ら「基準」を設定しなければなりません。端末はその基準もとに「アレ?この牛今日は動きがちがうんじゃない?」と自分で判断してアラートを発報しなければなりません。海外のシステムでは牛群ごとに基準を設定しているものも見かけます。

 各牛に「うしみる首輪2号」取付け後、学習期間を経て端末は初めて各牛の「動き」の監視を始めます。台湾メーカーは台湾の牧場で実験、弊社は日本で実験をしてお互いの実験結果、要求などをすり合わせ、ファームウェアを改良していきます。ファームウェアのアップデートは上記写真のようにBluetoothでスマホから行います。本番では一度牛に取付けた首輪をそうそう簡単に取り外すことはできません。「答え合わせ」が不正解だった場合、どこに原因があったのか調査も必要となります。

今年の夏季放牧終了までシステムの改良は続きます。

 

 

発情検知実験を続けています⑤に続く


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発情検知実験を続けています③

2024626日
 by ノルドマルク

 

放牧牛端末の電池問題を何とか解決し(発情検知実験を続けています①)、加速度センサーからのデータ量が十分であれば高精度で動態判別できる (発情検知実験を続けています②)ことがわかりました。端末にシゴトをさせて発情を検知するという方針も固まりました。

2023年春には発情検知対応の端末も準備でき、実際に放牧牛に装着し実験できることとなりました。アルゴリズムが正しいかどうか確認するためには二つの方法が頭に浮かびました。

 

①つなぎ飼い用の発情検知端末からくる通知と比較する

②牧場の担当者から各牛の発情日時を後日教えてもらう

 

①の方法ですが、つなぎ飼い牛用の発情検知端末は十分に高い精度で発情を検知できるということはわかっています。1頭の牛に「うしみる端末」とつなぎ飼い用端末の両方を取付けて、比較しつつ精度をあげていこうという考えです。たださまざまな限界も浮かびあがってきました。まずつなぎ飼い牛用端末は「うしみる」のように通信方式としてLoRaを採用しているわけではありません。牛舎に非常に近い場所などに制限して放し飼いするとしても、牛の行動範囲が著しく制限されます。牛の活動量も北海道の広大な牧場で活動する牛とは大きく異なるでしょう。また1頭の牛に二つの端末を取付けるため重量が増し、それぞれの端末が正しい位置から移動し加速度センサーの3軸ずれてしまうこともあります。

 

②は実験協力牧場にタイムリーに人工授精を行った日などご連絡いただく方法です。端末の発情検知アルゴリズムと実際の「正解」が合致しているか、試験の答え合わせをしているような心境が毎日続きます。

 


発情検知実験を続けています④に続く


発情検知実験を続けています①はこちら

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発情検知実験を続けています②

2024619日
 by ノルドマルク

3軸加速度センサーによる 最初の一歩の実験 が終わりました。

3軸加速度センサーの十分なデータ量があれば牛の動態を高精度で判別できるということがわかりました。LoRa通信でのデータ送信量を少なくするために、3軸を合成軸などにするとすぐに精度は落ちてしまいます。人の背中に装着した加速度センサーなどとは異なり、牛の首では人の腕時計に内蔵された加速度センサー同様、オリエンテーション(軸の方向)が容易に変わってしまいます。つなぎ飼いの牛用端末は薄型で首上部に固定しやすいものが多いです。またつなぎ飼いなので動きも限られます。しかし放牧牛用端末ではGPSモジュールなども内蔵しているため厚みもあり、顎下に錘をつけても牛によっては端末が徐々に顎下の錘に近づいてくることがありました。首輪の形状などで物理的に解決しようとしてもなかなかうまくいきません。

 

当初は左画像のように首上で端末を固定していました。錘も必要でした。現在は錘なしで顎下に取付けています。電源ボタンは右耳よりにくるように取付けしています。この取付け方で同じような精度での発情検知を目指しています。

 

 

 

「うしみる」の発情検知では端末がシゴトをしてLoRa通信による制限を補っています。20分毎に位置情報を送信して、電池が長持ち(「うしみる首輪2号」では5年間)するためには、放牧牛に取付けた端末がシゴトをしなければなりません。具体的には端末自信が「あれっ?いつもよりこの牛、活動量が増えてきたな・・・。」と思い、ある基準を超えた時に自らアラートを発信しなければなりません。

 

発情検知実験を続けています➂に続く


発情検知実験を続けています①はこちら

 

 

 

発情検知実験を続けています①

2024612日
 by ノルドマルク

 

公共牧場への入牧もやっと終盤を迎え、発情検知の実験も準備が整ってきました。弊社では台湾のメーカーと協力して、北海道で3か所、九州で1か所、台湾で3か所の牧場で実験を行っています。

放牧牛端末開発にはいくつかの「越えなければならない壁」があります。まず大前提として端末は夏季放牧期間中電池がもたなければなりません。適正な送信間隔を維持しつつ、電池が6カ月間はもたなければなりません。公共牧場などではそうそう簡単に牛を捕まえて、首輪の付け替えなどできません。弊社の「うしみる首輪1号」は20分毎の送信間隔で約6カ月間電池がもちました。まあ「最低限の基準はクリアできた」というところです。それでも700頭近く放牧している牧場にとって、夏季放牧前の電池交換は大変な人手と時間を要しました。

 

次なる壁は端末の堅牢性です。弊社が実験をさせていただいている斉藤牧場は、開拓団が割り当てられた石だらけの山に切り開いた牧場です。牛の活動量は他の公共牧場とは比較にならないほど多く、牛は人の背丈ほどある笹の中や、谷の中を突き進んでいきます。端末は石にゴリゴリこすられたり、水飲み場では水没したりもします。そんな環境でも問題なく動作する端末でなければなりません。弊社では様々な環境の牧場で実験を続けることにより、より堅牢な「うしみる首輪2号」をリリースすることとなりました。

 

3つ目の大きな壁は牛舎から5㎞など遠くにいる牛の発情をどのように検知するかという点でした。「つなぎ飼い牛の発情検知システムはいくつもあるのに、放牧牛の発情検知システムはほとんど見かけない」というのは、「遠くにいる牛からのデータ送信の難しさ」に理由があります。発情検知には体温などによるものもありますが、加速度センサーを使ったものが多いです。LoRa方式では3軸加速度センサーのデータを、1秒間に10回送るというような用途には向きません。「では4Gなど使えばよいのでは?」という質問も承りますが、それでは端末の電池がもちません。とんでもなく大きな電池を内蔵した端末を牛にとりつけることになってしまいます。動態判別には大量にデータが必要となりますが、特殊なデータ圧縮技術を使い送信するという方法もあります。しかし弊社と台湾のメーカーでは「端末にシゴトをさせる」という途を選びました。ただその前にまずはイチから「加速度センサーによる動態判別」の実験をやらなければなりませんでした。

 

1. 通信機能なしの三軸加速度センサーロガーを放牧牛に取付け、データをログする

2. 同時に牛のビデオを撮り続ける

3. 持ち帰ったビデオを牛の動態(採食、反芻、横臥、歩行)に時間ごとに仕分ける

4. ログしたデータをある式にあてはめ、上記動態と比較を行う

 

データ取りは134時間程度何日も行います。「最初の一歩」の実験となりますが、まずまず3軸加速度センサーで牛の動態判別が高精度で行うことができるということが理解できました。

 


 

※発情検知実験を続けています②に続く

JAGRI(熊本)に出展しました

 2024年5月28日
by ノルドマルク

 

2024.5.22-24に熊本で開催された農業の展示会JAGRIに出展してきました。

昨年の開催が第一回の本展示会ですが、今年もグランメッセ熊本で開催されました。市内ホテルから会場まで12㎞程度ですが、TSMCの進出などで人口が増えている菊陽町方面で向かうので道路は大変渋滞しています。

弊社では放牧牛監視システム「うしみる」をメインで展示しました。弊社お客様で阿蘇に「うしみる首輪」をつけた放牧牛がいますので、お客様の許可をもらい会場でお見せしました。

 

 

JAGRI(熊本)に出展

気になるブースもあり説明をうかがいました。FARMOLoRa方式を採用した農地監視システムです。さまざまなエンドノードがありますが、価格も手ごろで、センサーはかなり売れているそうです。

 

 

 

 

 

JAGRI(熊本)に出展

SonyEltresSonyが基地局を設置するLPWA通信システムです。LoRaと異なり、基地局からかなり離れたエリアもカバーするようです。北海道でもためしていますが、自分の印象では人口3,000人以上程度の市町村は結構カバーしているように感じます。

 

 

 

 

 

JAGRI(熊本)に出展

 

熊本市は最近出張した台北と同じくらい暑いです。夜食事をしたときに「うどん居酒屋」を見つけました。私の住む旭川市ではこの組み合わせは見かけません。北海道では居酒屋でラーメンも出すというところは結構あります。以前東京新宿で「カレー居酒屋」をいう看板をかかげたお店をみたことがありますが、大変大きな衝撃を受けたことを記憶しています。

 

 

旭川北部でも入牧が始まります

2024522
by ノルドマルク

 

こちら旭川北部は旭川市内より降雪量が多いです。積雪の少なかった昨年より雪解けは1週間ほど遅れたようです。こちらの牧場は旭川北部の小高い丘の上にあり、北海道民の私でも「これが北海道だな」と感じるような景色が広がります。

この牧場にも5月最終週には80頭程度の牛が農家さんの手をはなれて入牧します。こちらの牧場では弊社の発情検知システムの実験にご協力いただいています。

つなぎ飼いの牛と異なり、放牧牛の発情検知には越えなければならない技術的ハードルがいくつかあります。そのため放牧牛の発情検知に参入している会社は世界的にも多くはありません。少しのデータをできるだけ遠くまで飛ばすLoRa通信環境下においては、三軸加速度センサーの三軸それぞれの値を1秒間に10回飛ばすようなことは容易ではありません。弊社ではその膨大なデータを圧縮技術の力技でデータをサーバーに送るのではなく、首輪につけてある端末に「シゴトをさせる」ことによって、発情を検知できるようなシステムを開発しています。肉牛、乳牛、放牧地の起伏などによっても牛の活動量は異なります。弊社ではそれぞれの環境において、異なるタイプの牛の発情を検知できるよう柔軟なアルゴリズムを開発中です。

 

 

この広々としたさわやかな牧場に牛たちが入ってくる日が待ち遠しい今日この頃です!

JAGRIの出展が近づいてきました!

2024年514
by ノルドマルク

今年も九州での農業展示会 JAGRI近づいてまいりました。今回弊社は屋外ブースでの展示となります。ご来場の事前登録は以下からどうぞ!

 J AGRI LIVSTOCK KYUSHU(畜産資材 EXPO)

今回弊社はブースにて阿蘇や旭川における放牧牛の「うしみる」監視画面をお見せする予定です。またWiFi利用ができないような牛舎などの監視に利用するライブカメラも展示いたします。

弊社がある東川町近郊はやっと桜が散ったばかりです。寒い日はまだ朝晩暖房を利用することもあります。会場のグランメッセ熊本  には、旭川>新千歳>福岡>熊本というルートで向かいます。つい最近台湾出張したばかりですので気温差には慣れていますが、人の密集する場所への出張にはいつまでたっても慣れることができません。グランメッセ熊本はTSMC工場がある菊陽町に向かう途中にあります。菊陽町一帯は工場完成により人口が増えたせいか、熊本市内からグランメッセ熊本方面への交通渋滞には驚くばかりです。熊本市内ホテルから12㎞程度に位置するグランメッセ熊本まで早朝は小一時間かかることもあります。またびっくりするような前方車両との間隔で割り込みがあったりで、田舎から出張する弊社社員はレンタカーの運転にもかなり気を使います。熊本市は弊社近郊の北海道第二の都市旭川市よりかなり大きいという印象です。

 

2024年5月22日(水)~24日(金)まで、会場では弊社「うしみる」担当社員2名が皆さまをお待ちいたしております。
ブースでは熊本県内の牧場で「うしみる首輪」を取付けた放牧牛の様子などを「うしみるアプリ」でお見せします。また、近くの牛舎の牛の様子などもライブカメラでご覧いただけます。
ぜひ B1-60  のブースにぜひお立ち寄りください!

放牧シーズンがやってきました!

2024年5月8日
by ノルドマルク

 

今年も放牧シーズンがやってきました。今日は弊社近くにある  斉藤牧場で、ゲートウェイ設置と首輪の取付けを行ってきました。斉藤牧場は大変ユニークな牧場で東京ドーム28個分の広大な草地に50頭の牛を放牧しています。牛たちは笹や木々の間をたくましく闊歩し、岩に頭をこすりつけるなど他の公共牧場の牛とは明らかに異なる行動パターンが発現します。

 

まずはゲートウェイを取付けます。ゲートウェイは4G通信が可能な、できるだけ高い開けた場所に取り付けます。牛たちは4G通信不可エリアも歩きますが、ゲートウェイと「うしみる」首輪をLoRa方式で通信しています。ソーラーパネルで給電します。冬の間もゲートウェイ設置の骨組みは残したままにしてあります。

 

牛たちは早朝4時頃と午後3時頃牛舎に戻ります。戻ってこない牛はスマホで位置情報確認、その場所に行き牛舎へ誘導します。

夏季放牧開始のため首輪を牛舎内でつながれた牛に取付けます。位置情報送信間隔は20分で、新型首輪は5年程度使用可能です。

首輪を取付けられた牛たちは順次、広大な草地に戻っていきます。

 

「うしみる」アプリですぐに位置を確認することができました。

 

今年は若齢の牛も多く、今日のように気温がまだ5℃以下の日には牛舎にとめ置かれます。

 

斉藤さんのお話では、日に2回牛を牛舎に追い込む際、毎回スマホで牛たちの位置を確認するそうです。数頭戻ってこない牛がいるケースも多く、位置情報を頼りに捜索すると牛が転倒して動けなくなっていることもあったとのことです。

 

「北海道公共牧場職員春期研修会」に出席しました

2024年4月15日
by かんちゃん

 

みなさんこんにちは。

北海道公共牧場会の研修会(札幌)で、弊社の放牧牛管理システム「うしみる」と、分娩事故防止ライブカメラについて発表を行いました。

 

弊社は去年も発表させていただいています。

https://www.trackers.jp/topic/?p=1160

 

私は初参加だったのですが、全道の牧場の方や酪農関係者が集まっており、情報交換会も行われるため、とても有意義だったと感じています。

発表させていただいた内容について、改めてこちらでご紹介したいと思います。

 


■放牧牛管理システム「うしみる」

インターネットに接続できれば、牛の位置を確認できるシステムです。「うしみる首輪」自体は携帯電波圏外でも問題ありません。設置の段取りとして、ゲートウェイを携帯電波が有効な小高い場所に設置する必要があります。取り付け講習や信号調査を行うこともあります。

 


■分娩事故防止ライブカメラ

赤外線で動作する自動撮影カメラで、カメラの前を人や動物が通ったときのみ反応して、画像や動画を撮影します。携帯電話を使用するため、Wi-Fiカメラのように、牛舎と自宅の距離に制限がありません。間もなく発売予定です。

 


弊社のシステムについて、ご不明な点等がございましたら、お気軽にお問い合わせください!

退牧シーズンがやってきました

2023年10月26日
by ノルドマルク

 

こちら北海道では放牧牛の退牧のシーズンがやってきました!
北海道各地の公共牧場で退牧作業が行われています。こちらの旭川市営牧場の放牧地には、もう牛は1頭も残っていません。5月の入牧時に旭川近郊から運ばれてきた牛たちは、約6カ月間の期間をこの広くて起伏の大きな牧場で過ごし、たくましくなった体で生産者のもとへ帰っていきました。広大な放牧地に牛が全くいない状態でのゲートウェイなどかたづけ作業は、少し寂しくもあります。

弊社では近隣の斉藤牧場、旭川市営牧場の2牧場と契約し、さまざまな実験を行っております。今年は「新うしみる首輪」のリリースに伴い、電池のもちや首輪の牛への取付具合の確認、端末に予期せぬ挙動がないかなど確認を行いました。これから来年の入牧時期までは実験で気になった部分などを修正し、よりよい製品に仕上げていきたい所存です。

旭川地区でも入牧が続いています

2023年6月12日
by ノルドマルク

 放牧牛管理システム「うしみる」

雪解けの遅い旭川北部の江丹別地区でも、入牧が本格化してきました。この時期旭川地区はまだ肌寒い日も多いですが、この「うしみる」首輪取付け日は快晴に恵まれ、夏の訪れを感じさせる一日となりました。各農家から入牧してきた牛たちは、朝から首輪装着の為、一か所に集められています。

放牧牛管理システム「うしみる」

パドックに集められた牛たちは、1頭ずつ追い込み柵に誘導されます。そこで耳標と端末番号を記録し、牛に負担がないように、また端末位置がずれないような適度な「きつさ」で首輪が装着されます。追い込み柵に誘導された牛は、不安でパニック状態になる場合もあります。こちら江丹別の牧場では作業の方々がやさしく牛に話しかけ、牛の不安を取り除こうとされていました。

放牧牛管理システム「うしみる」

首輪の装着を終えた牛たちは、さわやかな青空のもと広々とした放牧地に放たれていきました。

 

GTR-388LTE-M 車のエンジンのオン・オフ連動

2023年6月9日
byかんちゃん

みなさんこんにちは!

車両用LTE-M/GPSトラッカーのGTR-388LTE-Mの機能についてご紹介します。

GTR-388LTE-Mでしばしばお問い合わせいただく内容に「車のエンジンのオン・オフに連動してGTR-388LTE-Mの電源をオン・オフさせることは可能なのか」というものがあります。結論から言いますと可能です!この記事ではその設定内容や、実際の挙動についてご紹介します。

前回のトピック】でご紹介しました通り、GTR-388LTE-Mでは詳細な設定変更が可能です。簡単な設定の変更であればezToolが便利ですが、詳細な設定を変更する場合は「ConfigTool」をご利用いただけます。

ConfigToolのメイン画面

ConfigToolのメイン画面

ConfigToolは一般には配布しておりませんので、ご希望の方はお問い合わせください。ezToolと異なり英語表記になるほか、ezToolよりは操作が複雑になります。

さて、車のエンジンのオン・オフに連動させる場合、次の画面の設定となります。

ConfigToolの画面

赤枠で囲った部分の設定を変更します

赤枠の記載は次の通りです。

(Qc)Action when ACC input is activated:

→ACC入力時の動作

(Qd)Action when ACC input goes inactive:

→ACC入力が無効になった場合の動作

つまり、Qcが「エンジンがオン(給電が開始)になったとき」、Qdが「エンジンがオフ(給電が終了)になったとき」の動作となります。

Qc、Qdの入力部分(0000000000というところ)をクリックすると、次の画面が表示されます。赤枠の部分を変更します。

ConfigToolの画面

入力部分をクリックすると上記の画面が表示されます

赤枠の記載は次の通りです。

Device ○ Turn off (44) ○ Turn on (45)

これは、端末の電源をオフ(44)にするのと、オン(45)にするのを選べるということです。先程のQc「エンジンがオンになったとき」は、端末の電源もオンにしたいので45を選択します。逆にQd「エンジンがオフになったとき」は、端末の電源もオフにしたいので44を選択します。入力が完了すると次のようになります。

ConfigTool

これで設定は完了です!

それでは、実際に車を走らせて挙動を確認してみます。

比較のため、上記の設定(Qc、Qd)を行っていない端末でのテスト結果を掲載します。

ezFinder BUSINESS画面

Qc、Qdの設定を行わなかった場合の挙動

車を駐車場に停め、少ししてからエンジンを切りました。今回は、静止時、移動時ともレポート間隔は30秒に設定しています。また、シガーソケットから給電しています。エンジンをオフにすると、画像のように「レポートタイプ:メインバッテリー切断」「エンジン情報:OFF」と表示されます。しかし、その後も30秒おきに位置情報が送信されてきています。「エンジンはオフになったけれど、GTR-388LTE-Mはオフになっていない」ということになります。

続いて、Qc、Qdの設定を行った端末の挙動を見てみます。

ezFinder BUSINESS画面

Qc、Qdの設定を行った場合の挙動

10時48分にエンジンをオフにし、10時52分にエンジンをオンにしました。ezFinder BUSINESS上では10:47:58のレポートで途切れ、再開は10:52:50となっています。つまり、エンジンをオフにしたときにGTR-388LTE-Mの電源もオフになり、エンジンをオンにしたときにGTR-388LTE-Mの電源もオンになったということになります。

以上をまとめますと、

車のエンジンのオン・オフに連動させて、GTR-388LTE-Mの電源もオン・オフできる!

という結果となりました。

この「エンジンに連動させる」という機能、車両管理などの際には特に重要です。この機能がないとエンジンがオフでもデータを送り続けることになり、データ量の増大に伴ってデータが見づらくなったり、通信量が増えたりします。「エンジンの連動」はezToolでは行うことができませんので、ご希望の方は弊社までお問い合わせください。また「こういったことはできるのか?」といった疑問がございましたら、ぜひご連絡ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

いよいよ夏季放牧が始まります!

2023年5月19日 
by ノルドマルク

 

雪解けの遅い旭川北部の牧場にも、牛たちの入牧の季節がやってきました。5月末の入牧に向けて、牧場作業の方々は柵の補修など放牧場の準備のため、忙しく作業をされています。

弊社ではこちらの牧場に、LoRaゲートウェイを設置してきました。本年11月まで70頭の放牧牛をモニタリングする予定です。

弊社の放牧牛管理ステム「うしみる」をご利用いただく場合、機器をお送りしてすぐに「じゃあ始めましょう」ということにはなりません。まず第一歩は牧区割図などをいただき、Google Earthなどで遮蔽物や標高なども考え、どこにLoRaゲートウェイを設置するか、机上でだいたいの「あたり」をつけます。電源は取れないとしても、まずはLTE電波が届くエリアで「あたり」をつけます。牛>ゲートウェイはLoRa通信ですが、ゲートウェイ>サーバーはLTE通信でデータを転送します。

おおよそ「あたり」をつけたら、下見に行きそこから放牧されるであろう牛たちまで、視通線が取れそうかどうかまず考えます。電源が取れない場合、ソーラーパネルが木々に遮閉されないかなどにも注意を払います。「ここでよさそう」となって、初めて機材持込の日時などを決めます。

 

作業当日は単管を打ち込み、骨組みを作りチャージントローラーなど雨に弱そうなパーツなどはケースに収納します。現場にもよりますが、ここまで2時間程度の作業です。

 

完璧なゲートウェイ設置場所は多くなく、牧区によってはゲートウェイから牛が見えないような状況も発生します。通常はゲートウェイ設置後に必ず「信号調査」を行います。山の裏側などでもLoRa通信が有効か、LoRaトラッカーを持って歩きます。ここで要注意ですが、牛に装着する「うしみる」首輪は20-30分に一度データ送信を行います。それを信号調査に使用しては迅速な信号調査を行えません。弊社ではより小型のLT-501Hなどを携帯し、10秒ごとにデータを送信するようにして牧区を柵沿いに歩き回ります。木々の生い茂った場所、ゲートウェイが見えないような場所では、特に入念に調査を行います。

 

ここまでくればあとは牛の入牧を待ち、「うしみる」首輪を牛に取付けます。牛と端末を正しく紐づければ、順調に放牧シーズンが始まることとなります。

 

 

九州農業WEEKに出展します

2023年5月12日  
by ノルドマルク 

 

北海道東川町からはるばる熊本市で開催される「農業WEEK」に出展してきます。

弊社の展示は「放牧牛監視システム『うしみる』」になります。2019年より「うしみる」を販売してきましたが、最大の悩みは「電池もち」でした。大前提として夏季放牧期間である5月から11月くらいまではバッテリーがもたなければなりません。現状 LT-501RH では、送信間隔20分でこの条件をクリアしています。しかし北海道の公共牧場では700頭弱くらいの牛に「うしみる首輪」を装着しています。これだけの数のバッテリーを翌期に交換するのは、お客様にとり大きな負担となっていました。またお客様によるネジ締めの力加減が適切でなく、ケース破損や浸水などという問題もたまに発生していました。

 

本年この問題を解決した製品をやっとリリースきることになりました。電池交換無しに5年間バッテリーがもつLT-520Pという製品です。保護等級IP69Kで、防水ケースも不要です。ATEX/IECEx防爆安全基準にも対応しています。バッテリーの再充電はできません。使い切りとなりますが、送信間隔20分で夏季放牧であれば5年間は電池がもちます。

 

 

農業WEEKではこの製品を展示しますのでお時間ありましたら、是非お立ち寄りください。

 

 

 

 


・展示会名:  第1回 九州農業WEEK1st AGRI WEEK KYUSHU)

・公式サイト  www.agriexpo-week.jp/kyushu

※会場案内図(pdf)はこちらから

・開催日 :   2023524日(水)~526日(金)

・会 場 :  グランメッセ熊本

・展示コーナー: 【畜産資材EXPO】Dホール 4-94  


「北海道公共牧場職員春季研修会」で発表してきました

2023年4月10日  
by ノルドマルク 

北海道公共牧場職員春季研修会

 

北海道公共牧場会 の研修会(札幌)で、弊社の放牧牛管理システム「うしみる」について発表を行いました。

北海道公共牧場会は北海道での酪農振興を主な目的とし、肉牛、乳牛に関わる公共牧場間の情報交換等を目的としています。公共牧場は以前全国に1,200ほどありましたが、現在は700程度でかなり減少したようです。飼料価格高騰などで公共牧場の運営も大変ご苦労されているようです。

今回の研修会における講師の方のお話の中で、牧草の話は特に興味深いものでした。長く伸びすぎた牧草は栄養がなくなり、短草になれるということが重要であるということを再認識しました。「ちょうどよい伸び具合」ではダメで、早めに採食させることが重要と講師の方は強調されていました。また講習の中で再度放牧の意義についても説明を聞くことができました。

 

―放牧のメリット

・強靭な身体を作る

・糞尿を肥料化させることができる

・衛生環境を高めることができる

・土壌の改善

・低コスト

 

―デメリット

・牛の怪我の可能性

・馴致が必要となる

・気象条件などよみきれない変動要素がある

・移動にお金がかかる

 

またニュージーランドの事例でha当たりの適正な頭数についてもお話がありました。弊社「うしみる」では、任意に作成したエリアに牛が現在何頭いるか確認できる機能はあります。データを再利用することにより、ヒートマップを作製することもできます。「うしみる」の中に、それが標準機能として組込むことができればよいなと考えています。

 

日本草地学会札幌大会で発表してきました

2023年4月3日
by ノルドマルク

328日(火)札幌で開催された日本草地学会で弊社の放牧牛管理システム「うしみる」についての発表を行いました。日本草地学会は草地農業の発展に寄与するため、草地および飼料作物に関する学術の進歩と知識の普及をはかるための学会です。

https://grasslandscience.jpn.org/ (日本草地学会サイト)

 

本年は札幌で大会が行われ、「スマート放牧監視の現状と課題」について企画集会が開かれました。弊社も「うしみる」についての発表をいたしました。すでに昨年度「うしみる」をご使用いただいた、熊本県草地畜産研究所、島根県畜産技術センター、農研機構西日本農研のご担当から実証例、活用例について発表がありました。発表の中に製造側としての「気づき」がたくさんありました。

 

・霧だけではなく、草の中で牛が見えないような環境で特定の牛をさがすのに有効

・放牧地が大きい方が「うしみる」使用で時間削減が期待できそう

・泥沼などにはまって動けない牛の救出に有効

・離島での放牧での事故率は弊社思うより高かった

・若い牛ほど予期せぬ事故に気をつける必要ある

 

「うしみる」アプリで改修した方がよいポイントについても、意見をお聞きすることができました。これまで放牧牛用端末の毎年の電池交換が、酪農家様の大きな負担となっていました。弊社では20分間隔、夏季放牧で5年間利用可能な省電力「うしみる首輪」を開発いたしました。

 

【うしみるプレゼンテーションファイル】

斉藤牧場で放牧期間が終了しました

2022年11月16日
by ノルドマルク

 

雪虫も飛び始め、こちら旭川近郊も朝の寒さが厳しくなってきました。他の公共牧場様同様、弊社が実験で利用させていただいている 斉藤牧場 でも、牛の放牧期間が終了し機器の撤収に行ってまいりました。

斉藤牧場ではできるだけ自然を残した山地で、牛たちにとり自由度の高い形で放牧を行っています。牛たちは早朝に自ら牛舎に戻り搾乳を受け、また自ら草地に戻り草を食み、横臥しまた夕方には牛舎に戻りす。旭川市も雪がちらつくようになり、牛たちは4月上旬まで、長い冬を牛舎で過ごすようになります。

 

弊社では斉藤牧場の約25頭の牛に「うしみる」首輪を装着し実験に協力いただいています。本年度は牛舎にビーコンを取付け、牛たちが牛舎に戻りビーコンと紐づいた時に牛が戻ってきたことがわかるような機能の実験をしました。九州南部の島々などで自由放牧をされているような農家さんには役に立つ機能と思います。また加速度センサーによる発情検知の実験を行い、3軸加速度センサーで行動量が著しく上昇した際にアラートが来るよう仕組みを実験しています。牛舎飼いの牛と異なり、放牧牛では携帯電波の無いような3-4km離れた場所においても、牛のデータがゲートウェイに届かなければなりません。離れた場所から3軸加速度データ10Hzなどの生データをそのまま送信し、6カ月間以上電池が持つような、牛に装着できるような端末を開発することはできません。実際の牧場で使えるようにするためにはさまざまな「工夫」が必要となってきます。

 

 牛たちの退牧シーズンを迎え、弊社では現在「うしみる」をご利用いただいている農家さん、JA様、研究機関の方々にアドバイスをいただくために聞き取りをさせていただいております。来年度さらに「うしみる」を使いやすくすることができ、放牧業にいくばくかの貢献ができれば幸甚です。

 

 

 

TBSL1/LTE-Mをリリースします!

2022年8月3日
byマイク

 

 

マルチセンサーRTUTBSL1」がLTE-Mに対応します。これまではセンサー測定値をLoRaWANにて送信していましたが、国内での導入実績ではそもそもLTE圏内であったりLoRaWANゲートウェイに対してTBSL11台であったりとLoRaWANであるメリットがありませんでした。そこで同じLPWALTE-M版をメーカと共同で開発いたしました。

※ LTE-Mとは、LTEの一部周波数帯域を利用したLPWA無線通信規格の一つです。
※ LoRaとは、免許不要920MHz帯を利用したLPWA無線通信規格の一つです。
※ LPWAはLow Power Wide Areaの略で、省電力で広いエリアをカバーする無線通信技術です。

 

LoRaWANとLTE-Mの通信方式の違いについてのイメージ図です。

 

LoRaWAN方式ではゲートウェイ毎にSIM契約が必要となり、LTE-Mではデバイス毎にSIM契約が必要となります。現場の通信環境、TBSL1の数によって2つの通信方式からお選びください。

また、TBSL1/LTE-Mもソーラーバージョン、AC電源バージョンの両方をご用意しております。

【TBSL1 製品ページはこちら】