LoRaWAN×Beaver IoTで罠監視システムを試作してみました

記事を書いた人:ゆるハン

今回は、近々販売開始を予定しているMilesight製LoRaWANゲートウェイ「UG56」の動作検証の一環として、実際の利用シーンを想定し、箱罠の監視システムを試作しました。

複数の罠をまとめて監視する構成を想定し、マグネット接点センサー、LoRaWANゲートウェイ、IoTプラットフォームを組み合わせています。

 

図1: 畑に設置した罠監視センサー

 

 

今回の構成


今回使用した機器・ソフトウェアは以下のとおりです。

  • LoRaWANゲートウェイ:Milesight UG56
  • マグネット接点センサー:Milesight EM300-MCS
  • IoTプラットフォーム:Beaver IoT

システム全体の構成は次のようになります。

 

図2: 今回検証したLoRaWAN罠監視システムの構成

 

 

EM300-MCSにはSIMカードを搭載せず、LoRaWANを利用してUG56へデータを送信します。UG56は、LAN、Wi-Fi、4Gをバックホールとして利用できます。そのため、有線LANを用意できる場所だけでなく、Wi-Fi環境や4G回線しか利用できない場所でも構成できます。

4Gをバックホールとして利用する場合も、各罠にSIMを用意するのではなく、UG56側の通信回線に複数のセンサーを集約できます。複数の罠を同じエリア内で監視する場合に、LoRaWANの特徴を生かせる構成です。

 

図3: 検証に使用したMilesight UG56

 

 

 

EM300-MCSで罠の作動を検知


罠の状態を検知するために、MilesightのEM300-MCSを使用しました。EM300-MCSはマグネット式の接点センサーで、本体とマグネットの距離によって状態を検知します。

  • センサーとマグネットが近い:Close
  • センサーとマグネットが離れる:Open

今回は、センサー本体とマグネットを罠の作動部分に取り付けました。罠を仕掛けている状態ではセンサーとマグネットが近く、罠が作動するとマグネットがセンサーから離れるようにしています。

 

 

図4: Milesight EM300-MCSとマグネット

 

 

センサーのOpen / CloseをBeaver IoTで変換


ここで、センサーが返す状態と、実際の罠の状態が一致しないという問題が生じます。

EM300-MCSでは、マグネットが近いとClose、離れるとOpenになります。しかし今回の取り付け方法では、罠を仕掛けているときは入口が開いており、罠が作動すると入口が閉じます。つまり、罠の状態としては次のように読み替える必要があります。

 

状態 EM300-MCS 実際の罠
罠を仕掛けている  Close 入口:開
罠が作動した  Open 入口:閉

 

そこでBeaver IoTのWorkflowを利用し、取得したデータを罠の状態に合わせて変換します。この変換は、EM300-MCSがCloseの場合もOpenの場合も行い、Beaver IoT上ではセンサー固有のOpen / Closeではなく、実際の罠の状態として確認できるようにします。

 

罠が閉じたらメールで通知


今回は状態を表示するだけでなく、罠が作動した場合にメールを送信するWorkflowも作成しました。

Workflowでは、EM300-MCSから取得した状態を判定し、罠の状態を保存します。

  • Closeの場合:「罠の入口:開」として保存
  • Openの場合:「罠の入口:閉」として保存

メール通知は、マグネットがセンサーから離れてOpenになった場合、つまり罠の入口が閉じたと判断できる場合だけ実行します。状態の保存はClose / Openのどちらの場合も行うため、Beaver IoTの画面では常に現在の罠の状態を確認できます。また、Openになったときは画面を確認していなくても、罠が作動したことをメールで知ることができます。

 

 

図5: Beaver IoTで作成したWorkflow

 

 

 

Beaver IoTで状態を確認


Beaver IoTのダッシュボードでは、罠の状態を確認できるようにしました。今回確認した主な情報は以下のとおりです。

  • 罠入口の開閉状態
  • 開閉履歴
  • EM300-MCSの電池残量
  • 温度
  • 湿度

 

実際にマグネットを近づけたり離したりして動作確認を行い、センサーの状態に応じて罠の表示が切り替わることを確認しました。また、罠が閉じた状態では、設定したメール通知が実行されることも確認しました。

 

図6: Beaver IoTのダッシュボード(罠の入口:閉)

 

 

図7: Beaver IoTのダッシュボード(罠の入口:開)

 

 

 

実際の箱罠に設置して確認


最後に、EM300-MCSを実際の箱罠へ取り付けて動作確認を行いました。

罠を仕掛けた状態では、次のようになります。

  • マグネット:接近
  • EM300-MCS:Close
  • Beaver IoT:罠の入口「開」

 

図8: EM300-MCSを取り付けた箱罠(仕掛けた状態)

 

 

そこから罠が作動した状態を再現してマグネットを離すと、次のようになることを確認できました。

  • マグネット:離れる
  • EM300-MCS:Open
  • Beaver IoT:罠の入口「閉」
  • メール通知:送信

 

図9: 罠が作動した状態を再現した箱罠

 

今回の検証では、EM300-MCSから送信されたデータが、LoRaWAN、UG56、Beaver IoTを経由してダッシュボード表示とメール通知につながる一連の動作を確認できました。

 

罠監視システムの比較と選び方


今回試作したLoRaWAN構成が、すべての場合で適しているわけではありません。

弊社では、箱罠やくくり罠の作動を遠隔通知する「WANAセンサー4G」も取り扱っています。WANAセンサー4Gは、罠に取り付けたマグネットが外れることで罠の作動を検知し、4G回線を利用して離れた場所へ通知できる製品です。罠を1台から少数設置する場合は、ゲートウェイなどの追加機器を必要とせず、センサー単体で通信できるため、シンプルに導入できます。

一方、同じ地域に複数の罠を設置する場合には、各罠にLoRaWANセンサーを設置し、ゲートウェイへ通信を集約する構成が選択肢になります。

 

比較のポイント WANAセンサー4G LoRaWAN構成
推奨される設置台数  1台~少数 多数
構成・機材関係  機器構成がシンプル LoRaWANゲートウェイが必要
通信回線  罠ごとに4G回線が必要 ゲートウェイへ通信を集約可能
センサー側のSIM  罠ごとに4G回線が必要 EM300-MCS側には不要
インターネット接続  センサーの4G通信 ゲートウェイの対応方式による
状態の表示・通知  罠の作動時に通知(状態表示なし) Beaver IoTで状態表示、Workflowで通知

 

上表の推奨設置台数は、通信回線を集約できるかどうかを基準にした目安です。実際には、現場の通信環境や状態の一元管理が必要かどうかによって、適した構成は異なります。

インターネット接続方法は、採用するLoRaWANゲートウェイの仕様によって異なります。LAN / Wi-Fi / 4Gのどの方式に対応しているかを確認したうえで、設置場所の通信環境に合うゲートウェイを選定する必要があります。今回の検証では、LAN / Wi-Fi / 4Gに対応するUG56を使用しました。

重要なのは、どちらか一方ですべてを置き換えることではなく、設置台数や通信環境に応じて適した方式を選択することです。

WANAセンサー4Gは罠の作動を通知する専用製品のため、罠の発動と通知の関係が一致しています。一方、EM300-MCSは罠専用の製品ではないため、センサーのOpen / Closeと罠の状態はそのままでは一致しません。Beaver IoTスタートパックとWorkflowを組み合わせることで、罠の状態に合わせた表示と、罠が作動したときの通知を実現できます。

なお、LoRaWAN構成は採用するゲートウェイ、Beaver IoT、設置環境などを含めて検討する必要があります。設置台数や現場の通信環境によって適した構成は異なるため、「必ずコストを削減できる」というものではありません。

 

Beaver IoTスタートパックとの組み合わせ


今回使用したBeaver IoTは、弊社で「Beaver IoTスタートパック」として提供しています。

Beaver IoTでは、センサーから受信したデータを表示するだけでなく、Workflowを利用して用途に合わせた処理を追加できます。今回の罠監視では、次の処理をWorkflowで実装しました。

  • センサー値の意味を実際の罠の状態に合わせて変換
  • 罠の状態をダッシュボードへ表示
  • 開閉履歴を確認
  • 罠が作動した場合のみメール通知

 

同じセンサーであっても、取得したデータをどのように利用するかは用途によって異なります。Beaver IoTを組み合わせることで、センサーの値を現場の業務に合わせた情報へ変換し、表示や通知まで含めたIoTシステムを構築できます。

 

今後について


今回はUG56の検証の一環として、箱罠の監視を題材に、LoRaWAN通信、Beaver IoTによる可視化、Workflowによる状態判定とメール通知まで確認しました。

実運用を想定する場合には、次のような項目について、さらに確認していく必要があります。

  • 実際の山林や農地でのLoRaWAN通信距離
  • 地形や樹木による電波への影響
  • 複数台のEM300-MCSを設置した場合の通信
  • センサーの固定方法
  • 長期間屋外に設置した場合の耐久性
  • 電池寿命
  • 多数の罠を管理するためのダッシュボード構成

今回の検証では、罠を1台ずつ4G回線へ接続する方法とは別に、LoRaWANを利用して複数の罠をまとめて監視する構成が実現できることを確認できました。今後も実際の利用環境を想定した検証を進めていきます。

 

 

今回使用した製品・取り扱い製品


Milesight EM300-MCS

LoRaWAN対応のマグネット接点センサーです。今回、罠の作動検知に使用しました。

Milesight EM300-MCS 製品ページ

Milesight UG56

LoRaWANセンサーからの通信を受信するゲートウェイです。LAN、Wi-Fi、4Gをバックホールとして利用できるため、設置環境に合わせたインターネット接続方法を選択できます。

UG56は自社サイトで販売開始を予定しています。

Beaver IoTスタートパック

センサーデータの収集、ダッシュボードによる可視化、Workflowによるデータ処理などを行うIoT環境です。

Beaver IoTスタートパック 製品ページ

WANAセンサー4G

罠の作動を単独で遠隔通知したい場合に利用できる4G対応の罠センサーです。

WANAセンサー4G 製品ページ

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罠監視をはじめ、複数のセンサーをまとめて管理したい場合や、取得したデータを条件に応じて通知・処理したい場合は、お気軽にご相談ください。

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