夏季放牧期間が終了しました その2

2020年11月20日
by ノルドマルク

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ゲートウェイ設置場所は3G/4G圏内、もしくは固定回線が敷設されている電源の取れる場所に設置します。できるだけ高い、牛までの視通線が可能な限り確保できるような場所を選びます。山間部の起伏の激しい環境では通信が確保できないことが多々あります。

ゲートウェイ設置計画にあたっては通信距離の他にゲートウェイのチャンネル数、うしみる首輪をつけた牛の頭数、データ送信間隔とデータ欠損率の関係を考慮します。「ゲートウェイなど設置せずに3G/4G回線で直接うしみる首輪からデータを送ったらよいのでは?」とよく言われますが、バッテリー持続時間とカバーエリアの関係から難しいと言わざるを得ません。現状3G/4Gトラッカーで再充電することなく半年間夏季放牧を行えるようなトラッカーを製造するとなると、バッテリーが大きくなり過ぎて、牛の行動に支障をきたします。また北海道の放牧地の多くが3G/4Gで牧区のすべてをカバーしてはおりません。それどころかゲートウェイでさえも、広大な牧場の中で何とか3G/4G通信が可能な「スポット」を見つけ出した・・・というようなこともよくあります。そのような場所は電源が取れない場所がほとんどです。通信のみ確保でき電源が取れないようなゲートウェイ設置場所のために、ソーラーパネル給電装置を開発し、この夏実験を続けました。良好な実証実験結果を得ることができました。

 

 

データ欠損率を考慮する以外に、夏季放牧期間中(6カ月間)うしみる首輪が動作し続けるかという点も考えなければなりません。うしみる首輪は現状電池式もソーラーパネル式も20分間隔でデータを送信する設定にしています。(加速度センサーをトリガーとして通信を行う)モーションモード採用で牛が静止している間はデータを送信しないような設定も可能です。

ソーラーパネル式ではいちじるしい天候不順が続いた場合、ソーラーパネルからの給電が徐々に追いつかなくなり電源が切れる可能性があります。ソフトウェア上でうしみる首輪のバッテリー残量を確認することが可能ですが、先述の通り牛は広大な草地に放牧されています。バッテリー残量が低下したからと言ってすぐに対処できるわけではありません。ソーラーパネル式では電源が切れた場合にも、日射量が徐々に回復しバッテリー残量を確保次第再起動します。しかし悪天候が続き完全に放電してしまった場合においては、首輪を取り外してチャージャーを使用して再充電するというような作業が発生する可能性もあります。その点電池式はサイズが大きいですが、天候にあまり影響を受けないハードウェアであると言えます。

 

フィット感確認のためにソーラー式首輪を試着した牛

 

放牧牛監視システムでは様々な下調べを行って、「もれ」や「見過ごしている点」がないかを細かくチェックして、その牧場に合致したシステムとなるようにデザインしていくことが最重要です。

 

>>その3に続く