夏季放牧期間が終了しました その4

2020年12月21日
by ノルドマルク

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夏季放牧は雪が遅い地域では11月下旬まで行われます。「うしみる」納品や実証実験を重ねるうちに、課題や追加すべき機能も徐々に見えてきました。

まず脱柵検知機能ですが、上空が遮蔽された場所での「位置情報データの飛び」の問題があります。牛たちは雷雨の時など木の下などで雨風をしのぎます。「うしみる首輪」はGPS/GLONASSなど、さまざまな仰角/方位角から十分な個数の衛星からのデータを取得することにより安定した精度の位置情報を取得することができます。極端に上空が遮蔽された場所にいる牛の位置情報が瞬間的に飛んでしまい、ジオフェンスを超え誤アラートにつながったことがありました。衛星の幾何学的配置により不良データを採用しない方法もありますが十分とは言えません。送信間隔内に牛の速度で到達できないような位置情報はソフトで採用しないようにするという方法もありますが、今冬の課題としています。

ひと夏、GPS発信機のバッテリーを持続させるために、「うしみる首輪」は20分毎にデータを送信していますが、データ送信直後に牛が脱柵すると、次のデータが送信されるまでアラートは送信されません。これについてはソーラー方式首輪で送信間隔を短くする方法がありますが、その地域の日射量により送信間隔は慎重に決定する必要があります。またタブレットと携行できるようなゲートウェイを背負い、牛を追跡するというのも有効だと考えています。

放牧牛で発情を検知するシステムは国内ではあまり見かけません。やはり広い牧場では通信の問題大きいようです。現状「うしみる」には発情検知の機能はありませんが、徐々に機能を充実させようと考えています。

 

牛は発情期がちかくなると反芻や行動に変化が現れます。たとえば発情直前には活動量が大きくなるなどです。牛のデータを分析するために、首などに加速度センサーを付け、牛の行動をビデオ撮りして立つ、座る、横臥などのアクションを定義しようと考えました。牧場でこれをやると牛が人間に興味をもち次々に集まってきます。継続してターゲットの牛を、寄ってくる牛群を避けながらカメラで追い続けるのも容易ではありません。現在はある程度の広さがある牛舎内やパドックで加速度センサーを牛につけ、複数のビデオカメラで牛の動きを追い、加速度センサーの値と比較して分析を行っています。機能を実装するにあたっては、個々の牛の平均活動量、もしくは同じ牛群の平均活動量との乖離から発情判定行うような製品が欧米では普及しているようです。弊社では引き続き牛の動きを分析し、発情検知機能を「うしみる」に実装したいと考えています。

様々な牧場での実証実験、納品から多くのことを学ばせていただいた夏季放牧期間でした。2021年度に入りましたら、弊社は入牧時より実証実験に参加される公共牧場を募集開始いたします。

 

 

 

 

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